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零華とゴート本体
「零華。右腕がやられたようだ。存外やるな、あの小娘たちは」
片眼鏡をかけた長身の男。黒髪はオールバックにしていた。片腕の部分はひらひらとそよいでいた。
「いやいやいや。ないって。おそらく、さきちんの中にいた若葉だろ。アイツは昔から抜け目ないし、私のことも見抜いていたようだった」
「こちら側に引き込まないのか」
いんやと手を振った。
「霊術は魔法とは相性がよくない。この一手で、もうしばらくは若葉の干渉はないだろう。霊は現世に干渉することができんのは一瞬だけ。それも己の魂を削ってるわけだから、ほいほいできないよ」
「それよか現状を楽しもうぜ」
魔法国王女を人質に零華は大立回りを繰り広げていた。