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普通に三島の友人として彼女に紹介され、食事に誘い、親しくなって告白するという通常の恋愛の試練に打ち勝てる気が、まるでしなかった。
私が三島のような美男子なら、この提案を受け入れたろうか?
いや、あやしいものだ。
それに何より、私は絶対に彼女を逃したくなかった。
何としてでも彼女を自分のものにしたかった。
目まぐるしく頭を回転させた私が出した結論は、三島に協力してもらい、まっとうなアプローチで彼女を振り向かせるというものではなかった。
身体を引き裂かれるように名残惜しかったが、私は三島に謝って、すぐにその場を去り父の元へ急いだ。
そして父に由梨のことを告げた。
どうしても彼女と結婚したい。
彼女の家の窮状を教え、経済的な支援をすることで自分と結婚するようにして欲しい。
そう、頼んだ。
まあ、何と浅ましく恥ずかしく情けない要求だろうか?
まるで、子供がオモチャを欲しがるように彼女をねだったのだ。