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私は妻とスクリーンの間へと立った。
妻が、やっと私を見た。
ひどく怪訝な表情をしている。
私は両手を伸ばし。
妻の細い首を絞めた。
妻は抵抗しようともがいたが、私の力のほうが強かった。
私は覚悟を決めていた。
妻の頭の中に居る男に奪われるくらいなら、妻を殺して私も死のう。
私のものにならないなら、こうする他はない。
私は指に、さらに力を込めた。
恐怖を浮かべた妻の瞳が私を凝視した。
喉を絞められているので声は出せないが、妻の口が開いた。
何かを喋ろうとしている。
妻の口の動きで何を言いたいのか分かった。
「助けて」と言っているのだ。
残念ながら、その願いには応えられない。
突然、私の両腕が誰かに掴まれた。
両肘の辺りだ。
私は驚いた。
いつの間にか何者かがこの部屋に入り込み、私の背後に立っているという事実にだ。
まったく気配が無かったため、私は完全に不意を突かれた。
これはいったい誰なのか?
家政婦か?