14/18
14
私との4年間が苦痛だったのか?
妄想の恋人という逃げ道に走るしかなかったというのか?
私との生活が妻を壊してしまったのか?
この事実を知った私が抱いた感情とは何か?
こんなことを言うと、ほとほと呆れられるかもしれない。
「何を言っている? お前の頭は大丈夫なのか?」と。
ありていに言うなら、私は身を焼き焦がすほどの激しい怒りと嫉妬を感じていたのだ。
妻の妄想の恋人に対して。
現実には存在しない、妻の頭の中だけの浮気相手に。
その感情は探偵社を後に家に着き、妻と食事をし、1人で書斎に入り報告書を読み直した今も静まるどころか、さらに勢いを増して燃え上がっている。
やはり、私の器は恐ろしく小さいと言わざるをえない。
いや、もう事はそんな種類の話ではない。
探偵社の所長が言った、妻を連れて、どこかの医者を訪ねなければならない事態かもしれない。
私は書斎を出た。
妻の居るミニシアターへと向かう。