表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒い影  作者: もんじろう
13/18

13

 私の問いに所長は首を横に振った。


「違います」


 彼は私の眼を真っ直ぐに見て答えた。


「奥様は2人分を注文して1人分を食べ、2人分の精算をして店を出られるのです」


 私は戸惑った。


 いったい、この男は何を言っているのか?


「これはこの1ヶ月、我々が奥様にずっと張りついて出した結論なのですが…奥様の頭の中に1人の空想の人物…奥様の心の中だけに存在する人物が居るのではないかと思われるのです」


 私は黙っていた。


 彼が何を言おうとしているのか、まだよく分からずにいた。


「奥様は買い物の間も食事の最中も誰かに話しかけていました。そこには誰も居ないのに」


 所長の顔が青ざめているのに私は気づいた。


「どういう理由かは分かりませんが、奥様の頭の中だけに存在する人物と行動を共にされていると。そうとしか思えない状況なのです。この推論が正しいとなると、これはもう我々の専門外でして。大変、失礼かもしれませんが誰か、お医者様にご相談されたほうが良いのではないかと」


 私は言葉を失った。


 何ということか。


 妻の不貞の相手は現実には存在せず、妻の頭の中に居るのだ。


 妻は私を嫌うあまり、頭の中に空想の恋人を造りだしたのだろうか?


 そんなに私を愛するのが、つらかったのか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ