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悪役令嬢と無敗の騎士!!  作者: ニサマル・ユキ
~第一章~ 勝兎の決意
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爆奏の令嬢

今回は、亜輝菜...と言うよりもアクネリアの武勇伝www

11月21日、それは前の世界での私の誕生日であり、転生後のアクネリアの誕生日でもある。だが、この日はそれとは別に私達にとって、新たな何かが誕生する日でもあるのだ。


11月21日、今日で私は、八歳の誕生日を迎えるらしい。...なぜ、“らしい”と曖昧な表現しているのかというと、私は八年かかって物心を手に入れたからだ。正確に言うと八歳でやっと、私がアクネリア・コネット・アルナートになる前に前世が川内寺 亜輝菜だったことをつい最近に理解したからだ。まぁ、簡単に説明すると赤ちゃんの未発達の脳では私が亜輝菜だった頃の記憶を全て受け止めきれない為、神様が少しずつ思い出させているらしい。この事は転生前に神様から直接、説明されていた。


(やっぱり、目つきが悪いな~この顔...転生前は垂れ目だったのに!)


そして今...絶賛、鏡の前で自分の顔が悪役顔で嘆き中である。


「はぁ~、せっかく転生したんだからこっちではこっちではもっと普通の家が良かったのに...何で、貴族なのかな~~~̟前より大変そう!!」


そう、このアルナート家は帝国に代々仕える貴族の名家で私はその家の一人娘、そして仕えているオリマンドゥ帝国は各国を敵に回して戦争三昧の危険な国、状況はかなり最悪だった。


「それに今日は私の八歳の誕生日パーティー、祝ってくれるのはうれしいけど今日婚約者を決めるってのはちょっと急すぎるんだよね...だけど“魔工術”の儀、っていうのは少し気になるなぁー私、魔法とか憧れてたんだよね!」


魔工術の儀...それはこの世界の化学に代わる技術、魔工術の才能を確かめるために八歳で行う儀式の事でその力は手から炎を出す、土の人形を動かす、雷を落とす、などが出来るらしいので魔法と私は認識した。そんなようなことを考えていると、自室の扉をノックする音が聞こえてきた。


「お嬢様、失礼します。」


そんな声と共に入ってきたのは、私の世話をいつもしているメイドだった。


「お嬢様、今日のパーティーのお召し物を持ってまいりました。」


「ありがとう...そこのテーブルの上に置いておいて、後の準備は私が自分でやるわ...」


私は少し自分に違和感を覚えた。それに、メイドも少し私に対して驚いていた。


「どうしたの、私の顔に何かついているのかしら?...」


「い、いえ!そのようなことは!!ですが、お嬢様の喋り方がいつもと違いますので少し気になったというだけの事です」


確かにそうかもしれない。私はこんなに冷めた喋り方ではなかったはずだ。どういうことかと言うと私がまだ自分が亜輝菜だったという自覚が無かった時、つまりこの指摘したメイドが知っている私はもっと、年相応の幼児喋りだった。

(何か変だ...このメイドが部屋に来てから私が私じゃ無い様な感覚を感じる?)


「そんなことより、パーティーの開始時刻は何時からだったかしら?...教えてくれると助かるのだけど」

私はメイドに対してまた冷めた喋り方をしてしまった。


「は、はい!パーティーの開始時刻は8時15分からです」


「そう...ありがとう、もう帰っていいわ」


メイドは私の声を聞くと、少し怖がった表情をして逃げるように部屋を出ていった。


「......なんで私、あんな喋り方を...まぁいっか!」




その時の私はその違和感を気にしていなかった。とりあえず私はメイドが持ってきた紫色のドレスを着て、自室でパーティーが始まるまで待っていた。

パーティーが始まった。

いつもは広く感じるこの屋敷も、今日は人でごった返して少し狭く感じる。私はこのあとこの人数の前で挨拶をしなくてはならないらしい。


「うわぁ……!人いっぱいだ……こんなの夏祭りの花火大会以来だな〜ちょっと緊張……」


私が会場のドアを半開きで覗き込んでいると、後ろから肩を軽く叩かれた。急だったので少しビクッとした後私は後ろを振り向いた。


「お嬢様、そろそろご挨拶の準備を……」


そこに居たのは出番を知らせに来たメイドだった。


「……わかりました。知らせてくれてありがとう、助かりました。」


まただった。最近の事だ、自分一人の時は問題無く自分でいられる。だが、誰かが居る時は何故か自分が自分で無いかの様に思えてならない。さっきもそうだったが、自分の言いたいことが思うように言えず、少し冷たく相手にあたってしまうのだ。


(なんだろう……?記憶戻ったから、体調悪いのかもしれないな〜。まぁ、そのうち治るでしょ!)


私はそのまま父様に呼ばれ、会場へ入っていった。


~魔工術の儀の直前~


パーティーの終了後に私は屋敷の庭の中心にある祭壇の様な場所で魔工術の儀を行おうとしていた。祭壇の周りにはパーティーに来ていた帝国の貴族、私の花婿候補の少年たち、そして帝国の王子も来ていた。


(あの王子様、凄く綺麗だなー!ザ・王子って感じ!でも私の好みじゃないかな、私はもっと強くてかっこいい……まさとちゃん…元気かな?)


そう考えているうちに、時間になった。私は祭壇に上がりそこに置いてある水晶に手をかざした。この水晶が赤く光ると火、青は水、緑は風、茶色は土、黄は雷、白は光で紫は闇属性になるらしい。


(私は何色かな~~......あれ?黒色?これ紫ってことかな?)


少し不思議に思っていると、

[バキッ]

水晶にヒビがはいった。私は自分が失敗したのではないかと思い辺りを見回すと、周りの貴族の大人たち全員が顔を青ざめて、恐怖で凍りついていた。そして水晶のヒビが全体に広がり砕け散った。


「きゃあ!!!」


私は驚いて後退りをして祭壇から足を踏み外してしまった。だが、その時。


「危ない!」


王子が身を投げ出して、私を助けてくれたのだ。


「アクネリア嬢、お怪我はありませんか?」


「はい、問題ありません。王子、御手を煩わしてしまい申し訳ございません」


私はまた冷たい言葉を発していたが、気づいていなかった。なぜなら亜輝菜は、王子をかっこいいと思っていて顔を熱くしているつもりだったからだ。


(この王子かっこよすぎ!!私、惚れちゃう!!)


だが、アクネリアはそうは思っていなかった。



そののちに分かったのだが、水晶が割れたのは異例で私がとんでもない魔力を持っていることが分かり、それに加え七つの属性全てが使える“セブンズ・マスター”であることが分かったのだがそれはまた別の機会に。

~8年後~


私の事について分かったことと、家の状況でかなり変わった事が出て来た。まずは私のことだ、私はあの八歳の誕生日以来、困り続けていることがある。それは...こっちの世界の人間といるときは、亜輝菜である私の感情よりアクネリアの感情が優先されるということだ。これはおそらく、神様の言っていた記憶を持ったままでの転生の代償ということだろう。

そして、家の状況が変わったというのは...


[コンコン]


「お姉さま、入ってもよろしいでしょうか?」


「えぇ、入りなさい」


「し、失礼します...少し相談があるのですが、聞いてくださいますか?」


彼女がこの家に来たことによるものだ。彼女は“マイーナ・コネット・アルナート”私の...








義理の妹だ。


「相談?貴女、私が今忙しいということがわからないの?私は“義妹”にかまっていられるほど暇じゃないの」

(あぁ~もう、アクネリアのバカ!義妹なんだから優しくしてあげてよ!なんでそんなに冷たいの!そんなに言うならマイーナ私に頂戴!!といっても、もう私の義妹なんだけどね...)


「どうしても、お姉さまに相談したいんです!お願いします」


「...いいわ、ただし十分だけ。それ以上は無理よ」


「ありがとうございます!!」


彼女はこちらの世界では珍しい黒髪で私と同じく強過ぎる魔力で属性は光、その為この家の養子として向かい入れた。光属性だけに関して言えば私の魔工術より高度な術と圧倒的火力を持っている。


「それで、相談って何かしら、くだらないことだったら聞かないわよ?」



「はい、相談ていうのは...その、この国の王子の事なんですが...」


王子という単語を聞いて、アクネリアの耳が動いた。


「...王子?キアサス王子の事、それがどうしたのかしら...」



「その~...告白されたんです!好きですって!!」



アクネリアは動かしていた筆を止めて、目を細めた。


「そう...好きにすればいいじゃない、良かったわね」


「はい!なんか、お姉さまに言ったらスッキリしました!ありがとうございました!!」


アクネリアはマイーナには笑ったことが無かったがこの時は笑っていた...私はそのアクネリアの行動に危機を感じ、まさとちゃんを召喚する準備を急ぐことにした。






そしてアクネリアの十七歳の誕生日、事件は起きる。




11月21日、アクネリア・コネット・アルナート自ら火の魔工術を使い、帝国軍砦―――――――爆破。




爆破音で狂奏曲を奏でる令嬢...それが爆奏の令嬢・アクネリア・コネット・アルナート。

次回は、どうなるのかはまだ未定です!

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