再開の再会
こちらも一章に入りましたね!
これからも、頑張ります!
~第一章~ 勝兎の決意
「私、アクネリア・コネット・アルナート、よろしく。」
「アクネリア...さん、少し聞きたいのですが!」
「わかっています。此処のことでしょう?でも、まずは場所を変えましょう。話はそれからです」
アクネリアと名乗る少女は、啞然とする私を手招きし、美しい白銀の髪の毛を揺らしながら停めてあった馬車に向かっていった。
私は今の状況を知る為、彼女に今は従いついて行くことにしたのだった。
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あの後、馬車は2時間ぐらい走った。
その時に私は風景を観ている中で気付いた事がある...それは、
此処が...この世界が私の知る世界ではないということだ。
何故なら、街に獣の耳や尻尾、角があったり耳が尖っている人間たちが生活しているからだ。
当然、私は夢か仮装だと思いもした、だが決定的にしたのは彼らが生活に使っている、ある力だった。
「何だ...今、人間の手から水が出た!?火も!見間違えか?そうでなければ、やはり」
「さっきも言いましたが、夢ではないですよ...貴女が見たのは、魔工術というものです
魔法と言えば、分かりますか?」
そう、彼女ははっきり“魔法”と言い放ったのだ。
「馬鹿げている...私にそんなものを信じろと!!」
「嫌でも信じてもらうつもりです...でしたら、今ここでお見せしましょうか?」
すると彼女は、私の目の前に手を出しその手のひらの下にティーカップを添えた。
その瞬間、信じ難い出来事が起きた。
「なんだこれは...手のひらから水が湧き出ている!?」
「これがこの世界の魔工術です。信じていただけましたか?」
私は、信じざる負えなかった。その手品と判断の出来ない魔工術という現象を。
そうこうしているうちに、どうやら目的の場所に馬車が着いた様だった。
「さぁ、着きましたよ!...ようこそ、我が屋敷へ」
馬車の扉が開いた先には、巨大な屋敷とその門、そして何より門から屋敷までの長い道にズラリと並んだ使用人がこちらに向かって頭を下げている光景だった。だが、少し不可解なのはその者たちは使用人と言うよりも剣士のように見えたのだ。
(なんて使用人の量だ...九条治家にもいたがここまでは多くなかった!?
なんだか、彼女に出会ってから驚いてばかりな気がするな...)
「どうしたのですか?行きますよ!」
後について行くと、彼女の自室に案内された。どうやら自室で話すぐらいほかの人間に聞かれたくない話のようだ。自室にいた最後の使用人が出て行き私と彼女の二人きりになった。
その時だった...
「はぁ~~~~~~、やっと普通にしゃべれるよぉ~~!」
「はっ!?」
先程まで礼儀正しく冷たい表情をしていたアクネリアさんが、急にだらしない姿勢と言葉遣いになったのだ。その光景に私は、口が開きっぱなしになってしまった。
「あっ!ごめんね!ちょっと気張りすぎて、疲れちゃったんだ!
...ッ!!そうだった、言うのすっかり忘れてたよ!
信じられないかもしれないけど私、亜輝菜だよ?分かる?まさとちゃん!」
“亜輝菜”その言葉を聞いて私は、凍りついた...そして怒りも同時にわきたってきた。
「きっ貴様!!!どこでその名を知った!!!!!」
「わっわぁぁぁ!ちょっちょっと待って、本当なんだってば!」
「ふざけるな!そんなわけがあるわけないだろう!」
あるわけがない。そうだ、亜輝菜様はあの時死んでしまった。私が何の力も無かったから、だからこそあのときから鍛え、鍛え、鍛え抜いて今の誰にも負けない力を手に入れたのだ。
「そんなわけあるの!信じられないんだったら、クイズ出してみてよ、私答えるから!」
「問題を出せだと...ふざけるのも大概にしろ!!」
「ねぇ、お願い!お願いだから出してみてよ?そしたらわかるし絶対に納得するから!ねっ!」
普通に考えておかしいのは分かっていた、分かっていたのだが...何故か、私は問題を出すことに応じてしまった。
「...亜輝菜様が好きなものは?」
「まさとちゃん!」
「ッ!?...亜輝菜様が好きな事は?」
「まさとちゃん!」
「亜輝菜様が好きな言葉は?...」
「当然、まさとちゃん!」
「って、全部私じゃないか!答えに...なって..無い?...
そんな...この答え方は、亜輝菜様と一緒...いや、まさか一緒だからといって」
私は、信じられなかった。この問題は小さい頃、亜輝菜様に聞いていた。そして今の様に亜輝菜様も同じことを答えた。だが、この事は今思い出したのであって、何故私がこの問題を今彼女に出したのかそれは分からない。
「どうかな、信じてくれた?私は、あの誕生日に死んじゃったんだもんね、だから信じられないのはわかってるよ...でも、私は転生してこの世界に生まれ変わってアクネリア・コネット・アルナートになったんだよ!?」
「信じられない!そんなこと!だって、私が守れなかったから!私が弱かったから!亜輝菜様は、」
「自分を責めないで!」
「えっ?...」
「まさとちゃんは、弱くなんかないよ!
あの時に私は死んじゃった。だから守れなかったって、思うのかもしれないけど...でも、今まさとちゃんは泣いてくれてる!自分のために泣いてくれる人がいるだけで、その人の心は守られる!だから...その、うまくまとめられないけど、守ることができてるって事はまさとちゃんは強いってことだよ!」
その、不器用な励ましの言葉で私は彼女が亜輝菜様だということを信じることにした。
根拠は無い、だけど...確信はあった。何故なら、彼女の瞳の奥には溢れ出る程の優しさが見えたからだ。
「相変わらず、慰めるの不器用ですね」
「しょうがないじゃん!国語苦手だもん!」
私は、この五年間の気持ちを乗せて、亜輝菜様を抱きしめた。
「亜輝菜様この五年間ずっとお会いしたかったです!...亜輝菜様!お帰りなさいませ!!」
「うん...ただいま!まさとちゃん...」
抱き返してきた亜輝菜様の力はどこか疲れていた様に思えた
皆さん、お忘れだと思いますがこれ、悪役令嬢ものですからね!
ちゃんと、神さまがめんどくさいことにしてますよ?