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六の巻 実りの秋⑤

発表会も終わり、季節は秋。

発表会でのキスシーンが強烈過ぎたのか、クラスは恋の話一色に。

それをよく思わないモンブラン先生に追い打ちを掛けるようにグミからの告げ口が入って……。

 ジェラートが新しい恋に目を爛々と輝かせていたその頃、集合場所である集いの広場は、何やらおかしな雰囲気が漂ってしまっていました。


 「さぁて皆さん集合してください。点呼を取りますよ」

 モンブラン先生の呼びかけに、誰もがしぶい顔を作ります。

 なぜこんなことになってしまったのでしょう? これは確かモンブラン先生抜きの計画だったはずです。


 ――話は遡って、モンブラン先生がすこぶる機嫌が悪かった放課後のことです。ミントは一人呼び出されていたのでした。

 「君がなぜ呼び出されたか分かるかね?」

 いつもとまるで別人のような口ぶりに、周囲で聞いていた先生がこちらを見ています。

 「ごめんなさい。分からないです」 

 「本当に本当に、分からないのですか?」

 目を忙しく動かすミントを見て、モンブラン先生は大げさに息を吐き出して言うのです。

 「隠し事はいけませんね。この私だから寛大に事を済ませてあげますが、普通なら許されないことですよ」

 「一体何の話しでしょうか?」

 本気で首を傾げるミントに、モンブラン先生は少々興奮気味で迫りよってきて、

 「子供だけで遠出なんぞもっての外。しかもカップルは別行動になると可ならないとか。何て悍ましい。あなた方に秩序というものはないのですか?」

 頭を抱えだすモンブラン先生に、ミントは呆気にとられてしまいます。

 ただのハイキングがなぜここまで大袈裟な話になってしまっているのでしょうか? 

 ふと気配を感じ振り返ったミントは、さっと隠れる人影を見て合点がいきました。どうやら情報源はグミの様です。

 「先生それは誤解です。僕たちは単純に秋を楽しみにハイキングへ行こうって思っただけで、それにちゃんと大人だってついて来てくれることに」

 「それは誰なのです?」

 話を最後まで聞かず質問するモンブラン先生に、ミントは一瞬言葉を詰まらせてしまいます。

 「俺ですが、何か文句ありますか?」

 その声にモンブラン先生の顔があからさまに変わったのを、ミントは見逃しませんですした。

 「あなたがなぜ?」

 「先生もご承知ではありませんか。妹とその友達に頼まれて了承したってだけで」

 きっぱり言い切るティラミスに、モンブラン先生の口がへの字に曲がります。

 「ですが道中お一人で生徒たちの面倒を見るのは、私は心配だな。ねぇそう思いませんかなマシュマロ先生」

 「それはえっとですね」

 急に振られたマシュマロ先生がたじたじになっている中、モンブラン先生は強引に話を進めだします。

 「何かあった時、保護者の方々にどう説明をするおつもりかな? 考えが浅い人だと常々感じてはいましたが、ここまで酷いとは」

 大げさに首を振るモンブラン先生に、ティラミスは反撃をするどころかこんなことを言い出したのです。

 「何て素晴らしいのです。あなたがここまで生徒たちのことを大事にしているとは思いませんでした。いやぁ感動したなぁ。どうかねミント君、この際だからモンブラン先生にもお願いしたら。本当はマシュマロ先生にもお願いをしたいところだが、まさか休日を生徒たちのために潰してくれなんて頼めませんしね」

 「いえ、わたしはティラミス先生がいかれるのなら」

 口の中でもごもごいうマシュマロ先生を無視をして、ティラミスは続けます。

 「その白い肌が台無しになってしまうのも申し訳がない」

 「いえ、それは」

 頬を染めるマシュマロ先生に、ティラミスはにっこり微笑んで見せたからもう大変です。

 気を失いかけたマシュマロ先生がモンブラン先生に倒れ掛かり、ここで話は終わったのでした。

 ミントはないが何だかわからないまま教室に戻され、クラスは大騒ぎになったのは言うまでもありません。この状況を察知していたのでしょう。グミの姿はもうどこにもありませんでした。そして今日、ご覧の通り、モンブラン先生一人が張り切り、そこに調子よく合わせるグミ。という構図が出来上がったのです。


 「最悪。これじゃあ遠足と同じじゃない。つまんない」 

 こっそり言ったつもりのロール姉妹ですが、その声は綺麗にハモってモンブラン先生にまる聞こえです。

 「嫌なら帰りたまえ。私は全然構いませんよ」

 冷ややかな目線で言われヒクヒクとし始めたのは、いつもバニラの香りをさせている妹の白です。今日は特別ママにイチゴの香りをつけて貰ったとはしゃいでいたのに、これでは台無しです。それを見て姉のモカが口を尖らせます。

 「そんなに怖い顔をしなくたっていいじゃない。私たちは、正直に言っただけなんだから。モンブラン先生なんて、大嫌いっ」

 「なっ」

 珍しい光景に誰もが息を飲んでしまっている最中、重そうなリュックの紐をぎゅっと握りモンブラン先生の前にたちはだかったライをみんなは期待の眼で見つめます。

 「モンブラン先生の言うとおりにするべ。ミントとマドレーヌがし着なきゃならねぇべよ。惚れみんな並んだ並んだ」

 まさかまさかのライの発言に、みんな驚きが隠せません。

 「ライ、お前熱でもあんのか?」

 額を触ろうとするビターの手をま逃れ、ライは一番後ろに回って、ベーをして見せます。

 そんなことがあったことなど何も知らないスポンジ姫たちの到着で、全員集合です。

 「さぁ出発しますよ」

 モンブラン先生の掛け声で、出発した一行。

 目的地は、まんじゅう山です。

さて楽しいハイキングになればよいのですが。

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