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五の巻 芸術は爆発だ⑨

 さて物語は問いますと、こうです。


のどかな田舎町にやって来た一人の青年、それがティラミス。彼は何の目的でここへやって来たのか分かりません。影があり、如何わしいと思いながら、町長の娘であるスポンジ姫は魅かれて行ってしまのです。

 その恋のライバルになるのがライ。

 これはもともとなかった役です。

 マシュマロ先生に交渉した末に、無理やり作ってもらった役です。

 幼馴染で密かに思いを寄せているライは、何かと口実をつけてはスポンジ姫から離れようとしません。

 それをよく思わないのが、スポンジ姫の姉役のスフレ。どうして妹だけが、こんなに良い思いをするのか納得ができません。

 そんなある日、ティラミスと仲睦まじく歩くスポンジ姫を見てしまったスフレは、二人の仲を引き裂くことを企みます。

 当然入れ替わったのは本番の、今日のみ。

 練習とはどこか違う気迫に、誰もが自分の目を疑っているようです。

 恋に揺れるスポンジ姫を支える友人役は、ジェラートです。

 二人がよくお喋りするために立ち寄るカフェのウエイトレス役は、グミとキャンデイ。

 二人の会話を盗み聞きしたグミが、友人のマカロンに大袈裟に話してしまったからさあ大変。

 それぞれの目論見が右往左往し、のどかな町が大騒動です。

 そこで登場するのが、町のはずれの森にすむ魔女であるマドレーヌです。

 スフレは醜い面をつけ森へ向かいます。

 そしてわざと手を切り、木の根元に寄りかかりじっと待ちます。

 血の匂いを嗅ぎつけた魔女はまんまとおびき出され、スフレに襲い掛かって行きます。

 「お待ちください。こんな醜い女の血など飲んでも、何の得もありません。私の妹は町一番の美人と謳われています。嘘じゃありません。わたくしは醜い故、正体を隠すため、この森に追いやられたのです。どうか御命だけはご勘弁くださいませ」

 身を震わせて命をこうスフレの面を上げ、魔女は眉を顰めます。

 「嘘をお言い」

 「滅相もございません。花や虫、動物たちまでが、妹を褒め称え恋をしております」

 そこで魔女は早速、水晶にスポンジ姫を映します。

 スフレの言う通り、白く好き取った肌に赤く熟れた口びる。申し分のない美しさに、涎を滴らせます。

 思惑通りに事が進み、帰り道を急ぐスフレの後を、使いの鷹が追います。

 そうとも知らないスフレは途中、嬉しさのあまり面を外してしまい、鷹の爪に襲われ、そのまま魔女の元へと運ばれて行くのでした。

 何も知らないスポンジ姫は、帰ってこない姉、スフレを血眼になって探し回ります。

 そんなスポンジ姫に、木こりに化けた鷹が、森に入って行くのを見かけたと、おびき寄せます。

 夜になれば、物の怪どもがくらってしまうと脅されたスポンジ姫は、疑うことなく森の中へと、一人で入って行くのでした。

 鷹の役は、ビターチョコです。

 ビターはこの役があまり好きではありません。役だといっても、口上手く人を騙す行為が、どうしても許せないのです。

 戻らない娘の髪飾りを森の入り口で見つけたと報告を受け、町長はその身を案じ、12人の騎士団を終結させたのです。

 ミントが、隊長役です。剣の達人はシュークリーム。いささか強引な手法を取る副隊長役は、モンブラン先生です。キャラメル兄弟にクッキーやゼリー、チュロスとプリン、クレープ。騎士団になんか入りたくないと最後までごねて、戦おうとしないロール姉妹。

 マシュマロ先生は、ティラミスが滞在している宿屋のおかみです。

 そんな騒ぎになっていることなど知らないスポンジ姫は、森をさまよっていました。

 有ろうことか、鷹はスポンジ姫を一目見た瞬間、命を奪ってしまうのが惜しくなってしまったのです。

 言葉巧みに連れまわし、自分のものにしてしまおうと企むのですが、あまりの心のきれいさに、それは間違っていると思い知らされ、鷹は自分の正体を明かし、森を出るように告げるのでした。

 鷹のおかげで、スポンジ姫は命拾いをしましたが、帰らないスフレのことが心配でなりません。

 なかなかスポンジ姫を連れて帰らない鷹に疑念を抱いた魔女は、新たな使者を町へ送り込みます。

 それが扮する、追手から逃れてきたという謎の女。クランチ先生です。

 よろよろと宿屋に入って着たクランチ先生は、そこに居たティラミスを見た途端、恋に落ちてしまいます。

 あれよこれよと手段を選ばずに言い寄る女に、密かに思いを寄せていたおかみも黙ってはいません。

 長居をするべきではないと考えたティラミスは、旅立つことを決めます。

 宿屋の娘であるジェラートは、ティラミスに自分も連れて行くように頼みます。

 しかし拒まれ、泣き崩れているジェラートに、クランチ先生が背中をさする囁きます。

 「かわいそうに、こんなかわいい娘を泣かすなんて。知っているかいあの男、どさくさに紛れて町長の娘と駆け落ちをする気なんだよ」

 「そんなこと有り得ないわ。森に連れ去られそうになって以来、厳重な警備と、魔除け札に守られて一歩も外に出れないはず」

 「おかしいね。私が小耳にはさんだのは、あの男、口が達者でメイドたちを言いくるめているって話だよ」

 「そんなはずはないわ」

 「だったら、その目で確かめにお行よ。わたしゃ追われの身。ここで手を引くよ。だけどあんたは違う。あんな他のその美貌、見せつけておやりよ」

 言われるがまま、ジェラートはスポンジ姫の家へと向かいます。

 封印された門扉を開けさせ、ジェラートは後ろから襲われ気を失ってしまいます。

 そして、ジェラートに化けたクランチが、スポンジ姫に、ティラミスが一緒にスフレを探しに行こうと待っていると、告げるのでした。

 それと同じく、スポンジ姫を玄気付け用とやって来たライは、目を瞠ります。

 門番たちは大いびきで居眠りをする中、フラフラとスポンジ姫が出て行くではありませんか。

 呼び止めるライに、まったく気が付かないスポンジ姫。

 森に入って行く寸前、腕を掴みますが、ものすごい力で振り解かれ、ライは愕然とします。

 謎の女の妖術に掛かってしまったスポンジ姫は、再び森へ足を踏み入れてしまったのでした。

 成りを潜めていた鷹が、それに気が付き、生死を試みましたが、蛇の姿に戻った女に邪魔をされてしまいます。

 何も知らないティラミスは、国境まで来ていました。

 後を追ってきたと思われる少年、ベイクドに呼び止められ、一通の手紙を渡されます。

 それはキャンディからのものです。

 偶然、女の行動を見てしまったキャンディは大急ぎで、恋人であるベイクドに相談したのです。

 騎士団に話そうにも、門は開かれ、大いびきでまるで起きようとしません。

 驚くことに、どの家の男どもは似たような状態で、頼れるのはティラミスしかいないと考えたのでした。

 ベイクドはとても頭が良い少年で、女の正体はどうあれ、ティラミスに心惹かれているのは否めないと仮説を立て、スポンジを森へ向かわせたのなら、おそらく逆方向へ進んで行かせたのではと、推測を立てたのだった。

 思ったとおり、ティラミスの姿を確認したベイクドはすがる思いで手綱を引いたのでした。

 



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