三の巻 恋するジェラート④
放課後、ジェラートは一目散でスポンジ姫に、一緒に帰ろうと誘います。それを聞いたキャンディが、私もと加わってきました。
ジェラートとしては面白くありません。だって、スポンジ姫と一緒に帰りたいわけがあるのですから。
そのうえ、クッキーまでが一緒に帰ろうと、近寄ってきました。
これではティラミスの情報を仕入れることが出来ません。
「あら、クッキー、今日はゼリーと一緒じゃないの?」
ジェラートが棘のある言い方で訊きました。
「あんな子、知らない」
どうやらケンカをしてしまったようです。
スポンジ姫とキャンディは、顔を見合わせます。
「原因は何なの?」
つっけんどんに訊くジェラートに、クッキーはムッとした表情で言い返します。
「あなたには関係ないでしょ」
「そうね。だからって、急にスポンジちゃんにべたべたしないでしょ」
キーッと、頭に血がのぼったクッキーが、今にも飛び掛かって行きそうな勢いで言い返します。
「あなたこそ」
「二人とも、喧嘩はやめて」
「うるさいわね。キャンディは黙っていて」
「そうよ。何であなたまでがスポンジちゃんと一緒に帰ろうとしているのよ」
おやおや大変です。喧嘩が思いがけない方向に飛び散って行きます。こんな諍いを見たことがないスポンジ姫、目をぱちくりさせ、どうしていいのか分かりません。
「大変、大変。スポンジちゃんの命令で、キャンディたちが取っ組み合いの喧嘩をしている」
グミが、面白がってみんなに言いふらして歩きます。
「ええー、スポンジちゃんがキャンディたちを虐めているって」
慌てん坊のプリンがそう言うと、職員室に向かって走って行きます。
「どうかしたの?」
「どうもこうもないわ。女のバトルよ。流血騒ぎでもう大変なの」
マドレーヌはその話をロール姉妹に訊かされ、大慌てです。
「ケンカだよケンカだよ」
キャラメル兄弟が、ゲラゲラ笑いながら走って行きます。
話しはどんどん膨らみ、悪の根源はスポンジ姫に行きつき、クラス中の子達が集まって来てしまいました。
「結局、どういうことなのかね」
ミルフィーユ校長先生です。
「さぁ、皆さんは早く家へお帰りなさい」
モンブラン先生にそう言われ、渋々皆は家へと帰って行く中、スポンジ姫だけが残され、事情聴取です。
「わたくしは、何もしておりませんわ」
「それはおかしいですね。だったらこんな騒ぎにはならないと思いますよ」
モンブラン先生が、真意を確かめようと、スポンジ姫を見つめます。
そう言われても困ります。本当のことなんですから。
いくら説明しても聞き入れてもらえません。
途方に暮れて嫌気がさしたスポンジ姫は、面倒だから全部認めて謝ってしまおうかしら。と考え始めた時です。
木馬に乗った旅人が、ちょっとよろしいかなと声を掛けて来たのは。