二の巻 町の暮らし④
学校生活も一週間が過ぎ、ようやく慣れて来たスポンジ姫はクラスの構図が分かってきました。
ミントはクラスで一番の秀才で、誰もが一目置いています。それに続くのが、マドレーヌです。面倒見の良いお姉さんタイプです。本人たちには聞いていませんが、おそらく二人は恋人同士でしょう。いつも一緒で、良い雰囲気です。シュークリームは、きっとガキ大将。口が悪く、すぐにケンカになってしまいます。でも、プイと横を向きながら、消しゴムを貸してくれたり、教科書を見せてくれる優しい面もあるのです。
クッキーとゼリーは大の仲良し。いつも一緒です。グミは、きっと嘘が上手な子なんでしょう。チュロスは、のんびり屋さんです。慌てることを知らないのでしょう。遅刻魔です。マカロンは、どこで情報を仕入れて来るのか、ゴシップ好きで、口癖はビッグニュースよ、です。それはまぁ教室中を駆け巡って行きます。クレープは、誰にでも話を合わせてしまう優柔不断な男の子。実はスポンジ姫、天璃にかわいい顔をしているものですから、ずっと女の子と勘違いしてましたが、昨日、帰り道で、俺と言う言葉を使っているのを着て、慌ててキャンディに確かめたのでした。そしてこのクラスには、双子が二組います。二組とも大の仲良しで、クラスのムードメーカーのようです。キャラメル兄弟は、とにかく面白ければいいらしく、何かにつけてゲラゲラと笑っていますし、ロール姉妹はつんとした印象を受けますが、とてもお洒落さんで、くせ毛で髪が爆発しかけているクッキーの髪を結ってあげています。キャンディーはクラス一のおデブさん。聞きもしないのに、私アナウンサーを目指しているのと、おしゃべりさんです。
授業中、モンブラン先生に注意されています。
「アナウンサー。まぁ凄いわね」
頷くことしかできないでいるスポンジ姫の横から、口を挟んできたのはプリンです。
「アナウンサーなんて無理。無理。それより俺の嫁さんになって、上手いもん沢山食べさせてよ」
プリンはクラス一のおチビさんで、舌足らずで大袈裟なぐらな仕草をつけて話す姿が。どうにも憎めません。つい、笑ってしまうスポンジ姫を横目に、キャンディが頬を膨らませます。
「嫌よ。何であんたのお嫁さんにならなくちゃいけないのよ」
「だって~、クラスで一番、料理が上手いのはキャンディだから」
そうなんです。スポンジ姫も驚いてしまったのですが、家庭科の授業で、誰よりも上手にこなしてしまうのがキャンディだったのです。調理実習では、ほれぼれしてしまうほどな手さばきで、次々と料理を完成させてみせたのでした。
「うちは仕方がないのよ。お母さんがいないから」
少しさびしそうな顔です。
ベイクドとビターチョコは、われ関せずといった風で、いつも蚊帳の外に居ます。勉強もそこそこ出来て、運動神経が抜群です。スポンジ姫に、一人だけ分からない子がいます。
一番後ろの席で、窓の外をボーっとみてばかりのジェラートです。何を考えているのか、さっぱり分かりません。クラスの皆も見て見ない振りです。学校も休みがちで、一度も彼女の声を聴いたことがないスポンジ姫は、興味津々で彼女の行動を見張るようになりました。
「スポンジさん、スポンジさん」
誰かに体を揺すられ、スポンジ姫はハッとなります。
「居眠りはいけませんね~」
モンブラン先生です。
どうやら国語の授業中、眠ってしまったようです。
スポンジ姫の顔が見る見る真っ赤になって行きます。
「ばっかじゃねーの」
隣に座るシュークリームに言われて、スポンジ姫はしゅんとしてしまいます。
いつもなら下の一つも出して、やり返すスポンジ姫ですが、昨夜辺りから胸の真ん中あたりが入たくて仕方がありません。
こんなに長い間、両親と離れて暮らしたことがなかったスポンジ姫なのです。ティラミスも、あの日からずっと会っていません。寂しくて寂しくて、ちょっとでも突っつけばすぐに涙がこぼれてしまいそうなのです。
「気を付けてくださいね」
モンブラン先生の手がふわっと頭に置かれて、スポンジは目を瞠ります。
何なんでしょうか、少し違和感を覚えたスポンジは、柔らかく微笑むモンブランが恐ろしく思えてしまったのでした。




