表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/61

二の巻 町の暮らし①

 初めての学校です。


 来る道中、一人で歩いているスポンジ姫を不思議がって、いろいろな子が話しかけて来ました。

 中でも、グミはしつっこいくらい、話し掛けてきました。

 「あなたは転校生? ミルフィーユ校長から何も聞いていないわ。珍しいのよ。転校生なんてめったに来ないのよ。どこから来たのよ。ね、どうして黙っているの? あなたお口ないの? 私、良い人だから、そんな子でもお友達になってあげてもいいわよ。この学校ではね、あなたみたいな子は一発で嫌われちゃうのよ。でも安心して、私はそんな人たちと違うから。素もsもね、ここの生徒たちときたら、心狭すぎなのよ」

 と、ずっとスポンジ姫が学校につくまでこの通りです。

 「校長先生の部屋はあっちよ」

 グミが、ぐ~んと首を伸ばして、指さします。

 スポンジとしては、学校の情報などどうでも良かったのです。

 そもそも自分みたいなお姫様が、どうして平民である子供たちと同じに、学校へ通わなくてはいけないのか、考えれば考えるほど、腹立たしく思えて仕方がありません。

 「さぁこっちよ」

 軽々しく手を持たれ、スポンジは絶叫しそうになりながら、グミの顔を見ました。

 「緊張しているのね。でも大丈夫。私と一緒に居れば、ここでの生活は安泰よ。保証するわ」

 「手、を放して」

 怒りで、スポンジの肩が震えています。

 「まぁかわいそうに、そんな震えなくても大丈夫よ。ごめん、少し脅かし過ぎたわね」

 「そうじゃなくって、手を握られるのはちょっと」

 「ああごめんなさい。つい癖で」

 スポンジのイライラが募って行きます。

 そもそも執事であるティラミスがお供しないって、どういうこと? それに何なのこの子? 馴れ馴れしすぎない? バニラだって、もっとましな振る舞いをするわ。

 グミがそばかすだらけの顔で笑いかけて来るのですが、スポンジはにこりとする気になれません。

 どこからか聞こえてくる声。

 「あの子かわいそう」

 「グミだぜ。あいつ、仲間見つけて来たのか」

 「ゲロゲロ」

 視線も冷たく感じます。

 「あの、私一人で大丈夫ですから」

 「気にしないで、私ね、兄弟が多いから、面倒見るのは慣れっこだから」

 グミに微笑みかけられ、スポンジはつい目を反らしてしまいます。

 「さぁ着いたわ」

 グミのノックに応じ、ミルフィーユ校長先生が出てきました。

 「グミ君、おはよう。どうしましたかね?」

 「ミルフィーユ校長先生、転校生の、あら私、あなたの名前を聞くのを忘れていたわ。何ていうお名前?」

 そう言いながら振り返えられ、スポンジは良い瞬言葉を詰まらせます。

 「くれぐれも身分を明かされませんように。良いですか。それは肝に命じておいてください」

 憎々しげに言うティラミスの顔が浮かんだのです。

 ニコニコとしながら首を傾げるグミを前に、スポンジは何も思いつくことが出来ません。 

 「スポンジさん、お待ちしていましたよ」

 なんてことしてくれるの?

 驚きと怒りに満ちた目で、スポンジはミルフィーユ校長を見ます。

 「まぁ、素敵。あなたスポンジって言うの? だからだからなのね。お姫様と同じ名前なんて良いな。そのフワフワした髪も羨ましいな、だからきっとママたちはその名前を選んだのね」

 褒められて、嬉しいスポンジですが、少し複雑な気分です。

 難なくドアを通され、スポンジは首を傾げます。

 「どうかされましたか?」

 「いいえ」

 「ミルフィーユ校長、私ここでお待ちしましょうか。スポンジちゃん、教室、分らないだろうから」

 「大丈夫ですよ。君は教室に行きたまえ」

 

 人に親切にされるのも疲れるものです。余計なことは言えません。ティラミスのメガネがキラリと光らせ、くどいほど釘を刺されたことです。

 「ばれたら永久に追放と、国王様が仰っておりました」

 「お父様がそんなことをするはずないわ」

 そう反論するスポンジに、ティラミスは冷ややかな笑みを浮かべて言うのです。

 「さぁそれはどうでしょう」

 今日までのいきさつを考えると、あながちないとは言い切れません。

 「分かったわよ。学校ではなるべく話さないようにするわ。それでいいんでしょ?」

 ティラミスは、本当に嫌な男です。


 間もなくして、校長室がノックされ、一人の男性が入ってきました。

 一体全体何なんでしょう?

 さっきのグミといい、この男性といい。

 さわやかな笑みとともに差し出された手に、スポンジは顔を顰めさせます。

 「どうやら、恥ずかしがり屋さんっていうのは、本当のようですね校長」

 カーリーヘアを掻き上げ、八重歯を見せた笑顔です。

 「僕は君の担任、モンブランです。なかよく勉強して行きましょう」

 良く日に焼けた顔に八重歯が映える笑顔。

 きっと自分に自信があるのでしょう。

 求められた握手に、スポンジは渋々答えますが、内心、いやでいやで仕方がありません。

 「学校は素晴らし所です。君ならすぐにお友達が出来るでしょう。この僕が保証します。だから怖がらないで。君の人生はきっと素晴らしくなる」

 熱く語るモンブラン先生の傍ら、スポンジは目前さえ感じ始めていました。

 ここで本当にやっていけるのでしょうか?

 不安が過ります。

 「病気は徐々に治して行けばいいでしょう。焦らなくてもいい。ここは空気もおいしい。さ、モンブラン先生、スポンジさんを頼みましたよ」

 「そうですね。じゃあ行きましょうか」

 爽やかに笑いかけて来るもんブランですが、微笑み返す気にもなれないスポンジでした。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=197037803&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ