魔力欠乏症
翌朝。俺はどこかの宿で目を覚ました。昨日の体調不良は嘘のように無くなっていた。あれはいったい何だったのだろう。何か薬を飲まされたわけでもないから毒や病気でもないっぽいんだよな。病弱キャラかと思ったけど何かほかに原因があるのかも。まあ今は終わったことよりもこれからのことをしっかりとしないとな。
休んでいた部屋を出る。廊下を少し行くとおいしそうな匂いが漂ってきた。
洋風の造りで窓から心地の良い日差しが部屋全体を暖かく包み込んでいる。素朴で素敵なレストランみたいだ。
「あら?目が覚めたみたいね?
ゆっくり休めたかしら?」
声をかけてきたのは20代の女性。茶髪で顔立ちはアジア系ではなく西洋のそれだ。西洋の女性って魅力を感じるけどこの人はすごい美人だ。少したれ目で体全体から母性がにじみ出ている。
「えっと…。はい。昨日はお世話になりました」
「そんなに固くならなくてもいいわよ?
あなた来た時、顔が真っ青で魔力欠乏症になっていたのよ。あんまり無理すると命にも関わるから気おつけなさい。」
腰に手を当てて少し強めにいう。なんというかお母さんだな…。まだそんな年には見えないけどほんとは20代じゃないのかもしれない。
いや、異世界だもんな。あっちの世界と一緒にしてはいけないのかもしれない。結婚するの早そうだし。
それよりも魔力欠乏症か…。てことは十中八九原因は魔眼なんだろうな。俺のスキルはそれしかないし、てか無条件で発生するのにどうやって抑えろと?一回使うと欠乏症だぞ?
「迷惑をおかけしました。あ。お金支払います。いくらですか?」
「ああ。そうだね。宿泊しただけだから大銅貨30枚ってとこだね。朝ごはん食べる?それなら大銅貨10枚ね」
「いただきます!とてもいい匂いがしているので。
40枚ですね」
俺は麻袋を広げる。ってこれめんどくさいな…。大銅貨。まあ大きいのだろう。そう思っていると手には40枚の大銅貨が。便利な袋だな~。自動で思った枚数出してくれるのか。
「あんた。計算早いね~。やっぱ貴族なんじゃないの?」
「いやいや。お使いを頼まれてそれで覚えました」
適当に言い訳を言う。てかこんな簡単な計算できないのか?これは文字が読めない人とかも多そうだな。それに経済格差とかも。
「すごいね…。あんたの母親かなりスパルタだったんだね」
「そうですね。他の家庭に比べれば少しばかり厳しかったかもしれません」
「じゃあ!ちょっと待ってね。今料理をもってくるからね~」
待つこと暫し。
「お待たせ~。今日のメニューはパンと今日の朝、うちの育ててる鶏が産んだ卵を使ったスープだよ。栄養満点だから残さず食べるように!」
両手を腰にあてて前かがみなっていう。美人だからすこしドキッととしてしまう。
「いただきます…!
すごいおいしい!」
夢中で食べた。見た目は少し質素だけど、味はとてもおいしかった。あっというまに食べてしまう。
「おかわりするかい?
そんな食いっぷりを見るとサービスするよ」
「あ…おねがいします」
とてもおいしい朝食を食べ終わった俺は一回自分の部屋に戻った。女性店員には今日はまだ病み上がりだから一日大人しくしてるんだよって言われたけど、この世界にきてまだ分からないことだらけだ。少しでも情報がほしい。
それに魔力欠乏症の原因になった魔眼の能力の確認もしたい。とりあえずステータスを開いてみるか。
名前 コハク 性別 男
年齢 9
種族 人
レベル 10
スキル 剣術Lv.0
ユニークスキル 魔眼Lv.1
称号 転生者
昨日とは変わっているな。ゴブリンを倒して、レベルも上がっている。ファンタジー世界でゴブリンって雑魚なのにレベルがあがっていいものなのだろうか…。あ。それとスキルに剣術が追加されている。レベル1ですらないけれど…
このステータスには表記されない、魔力(MP)、体力(HP)という概念もあるのだろうな。それについても調べていきたい。
とりあえず魔眼をつかってみるか。心の中で魔眼と念じてみる……
「だめか~」
ステータスと違って何も起こらなかった。戦闘になると必ず発動するのだろうか?それだと一日、一回しか戦闘に参加できないじゃないか。そういや俺の姿ってどうなっているんだろう?かっこいいのか?目の色とか変じゃないだろうか?これで差別でもされたらメンタルが死ぬ。神様恨んじゃう。
考え事をしていたらもう昼だ。昼食は外で食べに外に行くか。店員には悪いけど、せっかく異世界二日目だ。観光してみたい。
ついでに服とか日常生活に役立つものでも買っておくか。
部屋を出ると昼の準備をしているようで受付には居なかった。俺はばれないように宿から外に飛び出した。
読んでいただきありがとうございます。(o_ _)o))
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