オウムじゃないよ。キジだよ。
キジって、何て鳴くんでしょうね。
ゲームとかだと「ケーン」って鳴いてましたが、
実際どうなんでしょう。
私の名前は、タケル
猿を子分にして、その猿の案内で
鬼の住むお城、鬼ノ城という所へと向かっている。
その途中の村で、鬼に襲われている人を見付けた。
鬼が村人から奪ったクワを振り回している。
「ひっ、ひいいぃぃぃぃ」
前に見た赤い鬼とは違い、青い鬼だった。
頭の天辺からは、1本の角が生えており
その姿に、村人は腰を抜かしていた。
何とか犬の様に、四つん這いになって
逃げ回っている。
それを追いかけ、振り下ろしたクワが
何度も地面に突き刺さる。
「よし。助けに行くぞ。
モン吉は、遠くから石を投げてくれ。
ポチは、足に噛み付んだ。」
桃太郎は叫び、鬼へ向かって駆けて行った。
猿の投げる石が、たまに桃太郎に当たっているが
豆粒みたいに小さいものだけだし、気にしていない様だが
猿を見るとニヤニヤしている。あいつ、わざとやっているな。
この間のカンチョーの仕返しか・・・。
しかし、鬼は相変わらず恐ろしい姿だが、前と違って
子分を連れている。
親分が恐がっている訳にはいかない。
そう思うと、不思議と勇気が湧いてきた。
もう恐くないぞ。
猿が投げた石が当たり、青鬼は村人から、こちらへと向く。
猿は石を投げ続けるが、金棒で防がれている。
そこで私が足下から襲いかかった。
鬼の足は、毛がモジャモジャで、口に毛が入るー
うぇーぺっぺっ
桃太郎ー早くやっつけろー
桃太郎が刀で斬りかかるが
大きく振り回された金棒に弾かれてしまった。
私も桃太郎も一度離れて鬼の隙を窺うが
猿から飛んでくる石を防ぎながらも、なかなか隙を見せない。
そこへ上から声がした。
「オーニサーン コッチラ オーニサーン コッチラ」
その声に釣られて上を見上げる青鬼。
その途端、鬼へ何かが落ちてきた。
ウンチだ。鳥のウンチが鬼の目に命中したのだ。
「ぎゃああぁぁぁぁ。汚いーっ。痛いーっ。沁みるーっ」
「え?あ、今だ。かかれーっ」
鳥のウンチで苦しみ、隙だらけとなった青鬼へ
私と桃太郎は一斉に攻撃した。
「うわーん。温羅様ーっ」
青鬼は泣きながら逃げて行った。
温羅と言うのが鬼の大将だろうか。
兎も角、ついに鬼をやっつけたぞ。
あの鳥は役に立つな。よし、子分にしよう。
そう考えていると、桃太郎も同じ事を考えていたらしい。
「おーい。そこの鳥ー。ちょっと降りて来いよーぃ。」
「ショーガナイナァ」
さっきは気のせいかと思ったが、やっぱりこの鳥
人間の言葉を話している。
もしかして、犬の私でも出来るのだろうか。
今度練習してみるか。
「コンニチワ。コンニチワ。ワタシ ナマエ トメタマ
助ケテアゲタ 食ベモノ チョウダイ」
「凄いなーっ。鳥がしゃべってるぞ。この鳥、雉か。
雉って、しゃべれたんだな。
あー・・・食べ物だな。よしよし、吉備団子をやろう。」
ムシャムシャと吉備団子を食べる雉。
「えーっと、俺様 名前 五十狭芹
吉備団子 食べたら 子分になれ。」
コラーッ。食べてから言うなんて卑怯じゃないのか。
というか桃太郎って、桃太郎って名前じゃなかったのか。
驚いている私の様子に、桃太郎が気付いたらしい。
「ははは。ポチには言ってなかったか。
桃太郎っていうのは、人が勝手に付けたあだ名なんだよ。
ほら、羽織に桃の印付いてるし。」
「まあ、そういう訳で吉備団子食べたし、今日から子分な。」
「ショーガナイナァ」
おいおい、五十狭芹だったか。
ええぃ、ややこしいから、桃太郎のままでいいか。
桃太郎も食べてから言うし、雉も「しょうがない」って
そんなので良いのか。
「よし、それじゃ、お前の名前はオウムにしよう。
異国の鳥で、しゃべる鳥がいると聞いた事がある。
その鳥がオウムという名前らしい。」
「ワタシ オウム チガウ。 ワタシ キジ。
ナマエ トメタマ。」
「宜しくな。オウム。」
「ワタシ オウム チガウ。 ワタシ キジ。」
「鬼の目にウンチは、最高だったぞ。オウム。」
「ワタシ オウム チガウ。 ワタシ キジ。」
「分かってるよ。お前雉なんだろ。
分かってるから大丈夫だよ。オウム。」
「・・・ショーガナイナァ」
こらこら。名前まで「しょうがない」で片付けるのか。
お前の名前はトメタマなんだろう。
やれやれ・・・この子分達は大丈夫なんだろうか。
そして、ワタシ オニ セイバツ ツヅク。