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とある犬のお話  作者: クリーム童話
3/5

吉備団子以外も食べたいな

子分1人と、1匹・・・

2匹目!!

私の名前は、タケル


私は、桃太郎を子分にし、次の子分を探して

旅を続けていた。


「ポチ、次は南へ行ってみようか。」


そして、南へ進んだが、どうも前に来た村な気がする。


「あんれぇ。桃太郎さん、まーた来ただか。

 もう鬼さ、出て行ったで大丈夫だってばよー。」


やっぱりそうだ。前に来た村だ。

しかも、これで3回目だ。思った通り桃太郎は迷子だった。


「いやぁ、鬼に食べ物を取られて、困っていないか

 心配になってね。」


嘘つくなー。ただ迷子になって来てしまっただけだろう。


「それがよ。オラたちが十分に食べるだけは

 残してくれたんだ。だもんで、全然困っとらんのじゃ。」


「そうそう。しかも鬼は銭を落としていきよって

 これで新しいクワでも買うべ。」


鬼は、一体何を考えているのだろう。

山賊や盗賊であれば、村人の食べる分なんて考えもせず

あるだけ、全部奪うものだが


村人が困らない程度に取るとは。しかもお金を落とすような

ドジをして、村人は返って喜んでいる。


まあ、そんな事は私にはどうでも良い事だ。

それよりも、桃太郎がまた東へ行こうとしている。


そっちはもう行った村だぞ。ずっと同じところをグルグル

回っているじゃないか。もう疲れたよ。犬だって疲れるんだよ。


私が止めようと吠えていると


「ほれ、行くぞー。って、そういえばもう昼か。

 ポチはお腹が空いて吠えていたのか。食いしん坊なヤツだな。」


違うよ。迷子の桃太郎を止めようとしていたんだよ。

そんな犬の気持ちも知らず、桃太郎は吉備団子を食べ始めた。


うぅ、また吉備団子か。美味しいんだが、流石に飽きてしまった。

何せ、出会ってからずーっと吉備団子しか食べていないのだ。


たまには肉が食べたい。と言ってみたが

おかわりと思われてしまい、また吉備団子が出てきた。


目の前の吉備団子にため息をついていると

近くの木の葉がガサガサと音をたて、何かが飛び降りてきた。


「キキー。ウキャッキキー。」


猿だ。この猿は私の目の前の吉備団子を盗って

桃太郎の方へ向かって行き、何か言っている。


「キー、キキッキャッキャッ」


何を言っているのか、私も桃太郎も分からないが

左手を腰に当てて、右の手のひらを上に向けて、クイクイと

指先で手招きをしている。胸も張りとても偉そうな態度だ。


何となくだが、猿はこう言っているんじゃないだろうか。

「俺の子分にしてやるから、その団子を全部渡しな。」と。


桃太郎は私の子分だ。勝手に自分のものにしようとするんじゃない。

怒っている私を余所に、桃太郎は吉備団子を1つ差し出す。


「お前も俺様の子分になりたいのか。むぅ、猿かー。昔オヤツを

 盗られた事あったな。・・・鬼の金棒を取り上げたり出来るかな。」


差し出された吉備団子をムチャムチャと食べ始める猿。

お尻を掻きながら、次をよこせ。と言わんばかりに


指先でクイクイ手招きしている。なんて図々しいやつだ。

あ、猿と目が合った。


「おい。そんなに吉備団子が食べたければ、このタケルに付いて来い。

 私の子分になれば、もっと食べさせてやろう。」


「キッ。キキ~?ウキャキャ。」


んー、やっぱり猿語は分からない。

だけど、猿には私が言いたい事が、何となく伝わっている様だ。

とても気に入らない。という顔をしている。


なんだ?ケンカでどちらが親分か決めるか?

ウゥ~・・・


私と猿が睨み合っていると、猿の後ろに

桃太郎が忍び寄っているのが見えた。


何をしているのだ?と思っていると

両手を合わせ、人差し指を立てて


猿のお尻をブスッと突いた。


「おふっ」


猿は咄嗟にお尻を押さえて、猿らしからぬ声と共に飛び上がった。


「人が話かけてるのに、無視してポチとケンカを始めるんじゃない。」


桃太郎は怒りながら、おかわりの吉備団子を取り出し

私の前に差し出す。


ちょっと、その手、さっき猿にカンチョーした手でしょ。

その手で吉備団子を触るんじゃない。汚いなー。


「それで、モン吉は鬼がどこにいるか知らないか?」


桃太郎はまた勝手に名前を付けている。

そして、格好良くない。


「ウッキー・・・」


お尻を押さえたまま、うずくまっている猿が北の方を指差し

弱々しい声で答える。


「知ってるっぽいな。やっぱり猿って賢いんだな。

 よし、それじゃあっちへ向けて出発だー。」


猿は手を引っ張られ、引き摺られる様にして

桃太郎と歩いて行く。


親分を決めるケンカが邪魔されたが、桃太郎の子分に

なった様だし、子分の子分は、私の子分も同然だな。


そして、私の子分集めの旅は続くのであった。

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