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とある犬のお話  作者: クリーム童話
2/5

桃太郎はいずこ

まずは子分1人目

私の名前は、タケル


鬼が、あんなにおっかない生き物だとは、思わなかった。

何とか逃げ延びた私は、子分を集める為に旅をしていた。


そして、たまに通り過ぎる人間たちが、ある噂をしていた。

鬼と戦う人間がいる。と。


その人間は雄で、桃の印を付けた羽織を着ているそうだ。

その人間の名前は、桃太郎というらしい。


よし、そいつを子分にしよう。


桃太郎を見たという噂の村に行ってみたが

もう居なかった。村人が言うには、東の方へ行ったらしい。


東に向かい、また村を訪ねたが

もう居なかった。その村人が言うには、北の方へ行ったらしい。


北の方へ向かい、村を訪ねたが

また居なかった。こうなったら、とことん追いかけてやる。


今度は西へ行ったらしいので、西へ向かって、村を見つけたけども

やっぱり居なかった。次は南らしい・・・。


南に行ったが、まーた居なかった。今度は東。

って、何だかこの村、最初に来たような気がするな。


「桃太郎ってやつは、何をしているんだ?迷子なのか?」


次こそ。という想いを胸に東へ行くと

居た。やーっと居た。居ました。桃太郎。


東の村へ続く道の途中、岩場に腰かけて

何か食べてる。桃の印がついた羽織を着ているので、

間違いないだろう。


追いかけるのに夢中で、お腹からグゥ~と

情けない音がする。


「おい。お前が桃太郎だな。このタケルの子分にしてやる。

 先ずはその食べているものを1つよこせ。」


しかし、人間の桃太郎にはやはり私の言葉が分からないらしい。


「んん?なんだ。いきなりワンワン ワンワンとうるさい犬っころだ。

 この吉備団子が欲しいのか?」


「それは、吉備団子と言うのか。とにかく1つよこせ。」


「犬と言えど、俺様の吉備団子をタダでやる訳にはいかないな。

 よし、犬の鼻も使えるだろう。俺様の子分になれば、1つやろう。」


桃太郎は、何か勘違いをしているようだ。

「違う。お前が私の子分だ。分かったら1つよこせ。」


「おー、よしよし。ワンワン吠えてばかりで、何を言っているのか

 分からないが、子分になりたいんだな。ならば、ほれ食べろ。」


きびだんごを1つコロリと差し出す桃太郎。


白くて、コロリと小さく丸い

そして、ほんのりと甘い香りが漂っていた。


「あ?ありがとう。」

目の前に出された私は、思わず食べてしまった。


モチモチとしていて、香りの通りほんのりと甘い。

なんて美味しいんだ。


「もっと。もっとよこせ。」


「お?なんだ。気に入ったのか?

 うちのばあちゃんが作ったきびだんごは格別だからな。

 しょうがないな。」


また1つ貰い、ペロリと食べてしまった。

「も、もっと。もっとください。」


ひとしきり食べて、満足したところで

桃太郎が立ち上がり


「さて、それじゃ鬼退治に行くか。精々役に立ってくれよ・・・。」


そこで桃太郎は黙り込み、ブツブツと何か言い始めた。


「シロ・・・ハチ・・・ギンジ・・・ポチ。よし、ポチだな。」


何だろう?名前の様だが。

そして、こちらを向いた桃太郎が叫んだ。


「頼むぞ。ポチ。」


私の名前は、タケルだー。

ポチなんて、可愛い名前じゃないぞ。

勝手に名前を変えるな。


と、いくら言っても、やはり桃太郎には分からない様で


「そうかそうか。気に入ったか。ポチ。」


と笑うだけだった。

そうして、私は人間の子分を仲間にしたのだった。


「・・・あれ?何か桃太郎が、俺様の子分とか言っていた気がするな。

 気のせいかな。・・・まあいいか。」


それよりも、鬼がいっぱい居ては敵わない。

よし、もっと子分を集めよう。


私の旅は続くのであった。

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