働くぞ!
翌朝起きたときには背中が痛くなっていた。
やっぱり床で寝たのは失敗だったかな。
トトさんは僕より先に起きて朝食の用意をしていた。
「おはようトトさん。」
「おはようございますウサミさん、寝れましたか?」
「うん、大丈夫。トトさんは今日もお城で仕事?」
「そうですよ。ウサミさんはどうされますか?」
「そうだな~僕も何か仕事をした方がいいよね。」
「いいえ、ウサミさんのお世話は私がしますので、ゆっくりされててもいいんですよ。」
「そんな、女の子に負担をかけておいて自分だけのほほんとはできないよ。僕も働くから。」
ひもにだけはなっちゃダメだよね。
仕事先はトトさんと同じところを紹介してもらえる話になった。
仕事をさせてもらう前に試験とかってあるのかな?
聞くと魔法使いのほとんどは戦場に出てて、お城に残っている魔法使いはトトさんともう一人だけ、かなり人手不足だから試験無しで即採用なんだとか。
トトさんと一緒にお城に行くと、まずに大臣の所に行って、僕を雇ってもらうように頼んだ。
僕の取り敢えずの仕事はトトさんの補佐だ。
まずは仕事を見て覚えてくださいということらしい。
トトさんの研究室に移動して今日の仕事に取りかかる。
今日も回復薬を作るらしい。
トトさんの手本を見ながら葉っぱを磨り潰し、鍋に水と葉っぱの粉を入れて火をかける。
あとはじっくりかき混ぜるだけらしい。
これなら僕にもできる。
僕は黙々と作り続けた。
「ウサミさん、そろそろお昼にしましょう。」
もうそんな時間になってたんだ。
確かにお腹が空いてるな。
お昼ご飯はなんだろう?
お城の中の食堂に行くと兵士さん達が何人か見えた。
何だか少ない感じがするな、やっぱりほとんどの人が戦場に出ていってるのかな。
料理をとって席に座った瞬間だった、傷ついた兵士さんが食堂に慌てて入って来た。
「皆聞いてくれ、最後の砦が崩された。もうじきここにも攻め込まれる。戦う準備をしてくれ!」
つ、ついに来ちゃった。
どどどどどどうしよう。
「ウサミさんは私が守りますから・・・。」
そう言うトトさんは、顔がこわばっていた。
女の子にこんなこと言わせるなんて情けない。
「トトさん、ぼぼぼ僕、た戦うよ。トトさんは僕が守るから。」
「ふふふ、ウサミさん震えてますよ。わかりました、一緒に戦いましょう。」
トトさんの表情がやわらかくなった。
戦うんだ、弱くても・・・。