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僕で大丈夫ですか?  作者: 誠也
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ぐうぅぅ~

謁見の間を出てブルークにアルス王との話を伝える。


「そおかぁ、ありがとなおめさん達。こっからは俺もしっかり考えっからな。」


ブルークは少し笑顔を見せる。


「うん、いい案を出そうね。」


僕達はトトさんの研究室に場所を移した。

椅子に腰かけると疲れがズンっとやってくる。

今までこんなに寝ずに動き回ったなんてことなかったもんな。

回復薬を少し飲んで疲労を紛らわす。

さて、いい案とは言ったものの、どういうのならいいのかな?

バリアルにはお金がなくて、兵力がある。


「ねえ、グラード王やガンサイさんに提案した労働力の派遣をスティリアにするのはどうかな?それだけじゃ厳しいから特別料金的な感じで安くしてもらうとか?これならバリアルが少し損をするだけでいけそうな気がしない?」


トトさんが少し険しい表情をした。


「バリアルは戦争に負けた訳ですから、そのバリアルにお金を払う形態になるのは皆は納得しないと思います。タダならいけると思いますが。」


タダかぁ、そうだよね、バリアルに対してそこまでサービスはできないんだよね。

ちょっと考えが甘かったかな。

少し肩を落とす。


「んじゃあ、壊した建物とか全部元通りにするってのはどおだ?」

「それもさっきの労働力の派遣で事足りると思うのですが。」


トトさんがすかさず返すとブルークはそおかぁと頭をポリポリかいた。

それから皆黙り込んだ。

う~ん、う~ん、全然思い付かないや。

ぐうぅぅ~。

なんだ?誰かがすごいお腹を鳴らした。

二人を見ると、トトさんが顔を真っ赤にしていた。


「ハハッ、すまね、俺お腹が鳴っちまった。どおだ、ここいらで飯にしねぇか?」

「うん、そうしよ。」


ブルークはすごいな、トトさんに恥をかかせないためにスッとこんなこと言えちゃうなんて。

僕も見習おう。


「そうですね、食堂でご飯をもらって来ますので、ブルークはここで待っててください。」


わかったと言ったブルークを残してトトさんと部屋を出た。

廊下を歩いていると、隣から小さくぐうぅ~と聞こえてくる。

トトさんは軽く咳払いで誤魔化しているけど丸聞こえだ。

聞いてないふり、聞いてないふり。

食堂はコックさんが三人お昼ご飯の準備をしていた。

お肉と野菜を刻んで、調味料と一緒に鍋に入れ、グツグツと煮込んでいる。

ポトフみたいだ。

コックさんに何か食べ物をくださいと話すと、パンとチーズをくれた。

ポトフはお昼に食べに来よう。

コックさんにお礼を伝え、少し早足で研究室に戻った。

さあ食べよう食べよう。

トトさんはチーズを片手に、もう片方の手で火の魔法を使いチーズの表面を溶かす。

溶けて垂れそうになっている所にパンをつけてコーティングする。

アルプスの山で女の子が食べてるみたいなやつだ。

それじゃいただきます。

ぱくり、うんまぁ~い。

お腹が空いてたのもあってよけいにおいしく感じるな。

はぁ、もうなくなっちゃった、なんだか最近がっついてばっかりだな。

おかわりっと。

パンを置いてた辺りを見回したけど何もない。

パンは6個もらったはずなんだけどな。

二人を見ると、おいしそうにパンを頬張っていた。

ブルークの両手にはパンがある。


「あっブルークずるい、そのパン三つ目でしょ。」

「いんや、俺はこの二つだけだぞ?」


トトさんの方を振り向くと顔が真っ赤になっていた。


「ごめんなさい、私です。まだ半分残ってるので、よかったら・・・。」


そう言ってトトさんは食べかけのパンを差し出してきた。

トトさんの食べかけ・・・えっもらっていいの?

トトさんそういうの気にしないの?

思考が停止した。


「ウサミどおした?おーい。」

「はっ!トトさん、その残ってるパンの半分でいいよ。」


トトさんの持っているパンを半分にちぎって、トトさんの口に当たってない方をもらった。

うん、これでいんだこれで。

パンをさくっと食べ終えて、再び三人で考え込む。

何か、何かないかな。

刻一刻と時間だけが過ぎていく。

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