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馬鹿真面目  作者: よもぎ
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3

完結済みなので、毎日投稿します。

 やっぱり、川に落ちれば風邪を引くのは当たり前よね。


 けれど、一日で治るあたり、やはり私の今世の体は丈夫でいらっしゃる!!嬉しい!!


「にゃあお」

「ああ、はいはい。ご飯ね、ちょっと待ってね」


 足にすり寄ってきた猫に声をかけながら、バタバタと支度をする。


 鏡に映る自分の顔は、昔の自分の顔をちょっとだけ綺麗にしたくらい。化粧した顔がすっぴんくらいだといえばわかるかな?


「・・・・日本人顔だから、若く見える・・・」


 決して、四捨五入して150㎝の身長と、凹凸のない体のせいではない。


 せめてもの抵抗に長目を維持している前髪だが、後ろの髪を孤児院のチビたちに2本の三つ編みおさげにされるのであまり効果はない。


 チョコレート色の髪と、深い藍色の瞳のおかげで、前世の感覚からあまり違和感を感じないのがありがたい。


「君が風邪ひかなかっただけ良かったわ!!」

「にゃん!!」


 お腹に入れて運んだからかな?


 とりあえず、ミルクを上げる。


「今日は、お店でなにかもらってくるからね♪大人しく待っててね」


 ミルクに夢中なのか、今度は返事がない。まあ、猫なんてそんなもんよね。


「ふふふっ」


 思わず笑いが漏れるくらい、私はご機嫌だった。







「あなたに会うまでは、ね」

「ひどいね、君」


 どっちが。


 そういわなかった私は偉いと思う。


 目の前でお酒をあおる青年。


 金色、というのは彼の髪のことをいうのだろう。そのぐらい鮮やかな金色の髪をもち、美しい青の瞳をもつ彼は、まさに理想の王子そのものの容姿。どこか、かの馬鹿真面目な青年を思い出させるのは、彼と血縁関係があるからだ。


「お花畑の君であらせられる、レオナルド殿下はなぜこのような庶民の店においでなのでしょうか?」

「あれ?厳しいね。いつものことだろう?」

「・・・・確か、今日はまだ休日じゃないと思いますが」

「そうだね。ミカエルは仕事中だね」

「・・・・仕事の相手が、目の前に見えるんですけど」

「そうだね。今日は私の護衛だからね」


 いやいや、それおかしいですよね?


 ミカエルは、この度第3皇子の護衛から、第1皇子であり、王位継承権第1位であり、すでに王政に口を出し始めている目の前の君の護衛に昇進したのだ。


 ここ重要。


 目の前の君、の護衛だ。


 護衛対象が目の前にいるのに、護衛の人がいない。


 ・・・・・撒いたな。


「うん。撒いた」


 ・・・・・ミカエル、撒かれたのね。


「って、勝手に心読まないでくれます?」

「ひどいな、僕と君の仲なのに」

「それ、未来のお妃さまの前で言えます?」

「ふふふっ、言えるわけないだろ?」


 ちょ、殺気出さないでよ!!こちとら、ただの一般ピープルですよ!!


「・・・・じょ、冗談ですよ」

「だよね」


 ちっ、この腹黒王子め。


 変に心を読まれてもいやなので、さっさとご所望の品を出してやる。


「はい、普通のおにぎりと、焼きおにぎりね」

「ふふふっ、時々食べたくなるんだよね」

「まあ、昔はこれが主食でしたからね」

「そうそう、今回は、お米仕入れにいって風邪を引いたんだって?もう大丈夫なのかい?」

「ええ、おかげさまでもう大丈夫です」


 この会話で察していただけるでしょうか?


「でも、よく見つけたよね。お米と醤油」

「そりゃあ、元日本人ですから。お米大好きですし。お味噌がないか、今捜索中です」

「ああ、味噌ね。たしかに、これにお味噌汁があれば完璧だよね」

「まさに日本の朝食・・・・」


 そう、実はこの方、私と同じなのだ。


「でも、前世で結ばれなかった恋人と、今世で会うとか」

「ロマンチックだろ?」

「浪漫というか、ちょっと呪いっぽい・・・・」

「ん?何か言ったかな?」

「!!いえいえ、大変素晴らしい純愛です!!」


 危ない危ない、また凍えさせられるところだった。


 レオナルド王子。


 前世、日本人。


 前世で結ばれなかった恋人を追って、異世界に転生。


 それは、執念がなせる(わざ)!!

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