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第2話です。誤字脱字、すみません。
「ホント、妹に先を越されるとはなぁ・・・・」
思わずため息が漏れた。吐いた空気も飲み込みたくて、お酒をあおれば、勝手知ったるマスターが追加の杯をくれる。
初恋、ではないが、こじらせ具合は妹といい勝負かもしれない。
「・・・研究狂いもいつのまにか成就させてるし、レオ様もいつの間にか隣国のお姫様を妃にしてるし」
周りはお花畑の住人になっているのに、いまだ自分の花は蕾のままだ。
これがため息を吐かずにいられようか、いや、いられない。
ちらりと店内を見渡せば、そこそこ繁盛している。
ちらちらと伺っていれば、どうも目当ての人物がいない。
1週間くらいで戻る、って言ってたが、どうかしたのだろうか?
不安に駆られて、マスターに声をかければ、苦笑とともに答えが返ってきた。
「ああ、ユキちゃんね。帰ってくる途中に、川に落ちた猫を助けてね。そのまま風邪をひいちゃったみたいなんだ」
「なんともユキらしいですね」
「だろ?」
お互い苦笑が漏れる。
ユキは、いつもそうだ。
大荷物を抱えたおばあさんがいれば、その荷物を代わりにもってやる。自分の目的地と真逆でも、笑顔でニコニコたわいもない話を交わしながら送っていく。
孤児院の子どもたちのために、成人する前からこの店で働いている。成人してからは、昼間は孤児院の手伝いをして、夜はウエイトレスとして働く。
迷子の子どもがいれば、泣き止むまで付き合い、手をつないで母親を探しに行く。
「でも、もう少し、自分のことも考えてほしいんですけどね・・・」
「全く、ね。最近も・・・・」
「??」
ふと、中途半端なところでマスターの声が途切れた。
気になってマスターを見れば、視線が店の入り口に。その先を追うと、そこには若い一人の男が。
きょろきょろと店内を見回すのは、あいている席を探すためか?
そう思い、マスターに視線を戻せば、その顔が少々険しいものになっていた。
「・・・・どうかしましたか?」
「!!いや、お客様がいらしたので、少々失礼します」
「あ、はい」
ウエイトレスがいるのに、マスターが直々に接客に向かうのか。
そんな常連なのか、あの男??
疑問が浮かぶが、それを聞く相手はいない。
ユキ、お見舞いにでも行くか・・・・。
お勘定を頼み、店をあとにするのだった。
心理描写が苦手です。