【3月号】【3体目 平和のために、武装は必要不可欠なのです!】
【DoMA 作;黒口穂波】
【3体目 平和のために、武装は必要不可欠なのです!】
共有型粘膜性従生物と名乗る、僕の体内に入っているアリス。そして文釣高校の図書室で襲い掛かって来た女生徒。
訳の分からない事だらけであり、僕は混乱していた。
【そんなお前の平和のための武装を要求するぞ!】
と、俺の身体の中に居るアリスがそう語りかけて来た。
「武装……?」
次の日の朝、僕は学生服を着て高校へと向かいながら、アリスの言葉に心を傾けていた。
【君が言ったんだろう? 平和でありたい、と。平和で居たい、と君が昨日夜に無理矢理心の中で呟きまくっていたんだろう? そのせいで吾輩は寝不足で仕方がない。
平和のためには少々の武装は必要だ。日本人は平和ボケしていると言われているが、それは戦闘の意欲を持っていないからだ】
「それはどう言う意味ですか?」
と俺はそう聞く。
【吾輩の感覚では、お前の通う高校には昨日の女生徒のような、お前を狙って来る奴が居ると思っている。あんなのは多分、下っ端の下っ端だ。お前を狙う奴が全員居なくなったとは考えられない。
吾輩はお前の身体が気に入っている。だからこそ、そんな奴らから守るための協力はしてやると言っているのだ】
「でも、それならば昨日の命令権を使えばなんとかなるんじゃ……」
【それは違うぞ】とアリスはそう言って来た。
【あの能力、命令権には様々な制約事項が存在する。
まず使用制限。あの能力は1日に付き10回が限度だ。そして使わなければ毎日10回ずつ使用数が増える。今は69回で使用数にはかなり数があるが、無数にある訳では無いのだ。それは覚えて置け。次にあの命令権は中枢神経を刺激して命令するから、物体には効かないし、中枢神経を持ち合わせない者には効かない。まぁ、他にも様々な欠点があるが、大体はそう言う事がある。
だから、お前は武装すべきだと思うのだ】
「武装すべき……ね」
高校への道を歩きながら、僕はアリスの言葉を心の中で反芻しながら、武装する事を考えるのであった。自分の平和のために。
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文釣高校には多くの部活動が存在する事は、既に話した事だと思う。それは即ち、数人だけが所属する部活や、大人数が所属する部活、さらには部活の掛け持ちがあったりするのだそうです。だから昨日、僕を襲って来た【第2魔術部】なる部活があるかと思ったんだけれども、
「……無いなぁ」
と、僕は生徒手帳に書いてある部活一覧の欄を見てそう呟いていた。軽く数えただけでも100を超えるような、一介の高校には相応しくないような部活数だがその中に【第2魔術部】なる名前も、【第1魔術部】なる名前も無かった。名前の良く似た美術部は何故か第8まであったのだが。
「けれども、まぁ、収穫はあったかな」
僕はそう思いながら、部活一覧を再び見る。
【簡易式防衛術部】。活動内容、僅か3日であなたもどんな人からでも身を守れるスーパーマンになる事が出来る、素晴らしい部活動です。
「アリス、今日、ここに行ってみよう。今、僕達に必要なのはすぐに身に付く武術だ」
【まぁ、そんなのでも運動神経くらいならば良くなると思うしな。その前に吾輩はお前にアドバイスをする神様みたいな存在じゃないぞ? 吾輩はお前の身体の居心地が良いから仕方なく守ってやる事を提言しただけだ】
「はいはい」
まぁ、部活動に入る事は相変わらず意欲が湧かないけれども、アリスの言う通り自衛の手段は持っておいて損はないし、行くとしよう。僕はそう思い、学業に集中するのであった。
―――――――――その日の放課後。
僕の前には僕に傅く武芸美少女2名の姿があった。
【次回へ続く】




