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月刊うろNOW! まとめ  作者: アッキ@瓶の蓋。
黒口穂波先生作

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28/41

【2月号】【2体目 世界は既に動いている、なのです!】

DoMA(ドーマ) 作;黒口穂波】

【2体目 世界は既に動いている、なのです!】

 【第2魔術部】と名乗る少女からの謎の攻撃によって、俺、土田琢磨は死ぬ運命だった。しかし、それは俺の身体の中から現れた猫少女による命令によって避けられた。自分でも何を言っているのか分からないこの状況に、俺は混乱していた。


「お前は……一体……」



【説明は後だ。まずはレストランか何か、ご飯が食べられる場所に連れて行くのだ!】



 アリスと名乗る猫少女はそう言った途端、元居た場所、つまりは俺の身体の中へと戻って行った。一体……なんだったんだ?



「とりあえず、腹も減っているし、とりあえず近くのファミレスにでも行こうっと」



 そう言って、俺は倉庫から立ち去るのであった。

================

「DoMA?」



【そう。Docile Martial Animal、つまり『素直で勇敢な動物』の事だ】



 と、アリスはパクパクと注文したおろしハンバーグを食べながらそう説明した。



【我々は共有型粘膜性従生物と言う分類に入るのだが……まぁ、お前の言葉で簡単に説明すると、他人の身体の中に入る事で活動出来る生命体と言う事だ。今はお前の身体を借りて、こうして活動している】



「つまり、僕の身体の中に住んでいるって事?」



【そう言っているだろうが。物分かりが悪い下等種族だな、君は】



 【全く……君の身体を借りている私の価値も下がるからもっと勉強したまえ】と言いつつ、アリスはパクパクとご飯を食べて行く。セットメニューのおろしハンバーグAセット、ご飯とお味噌汁付き(税込980円)が彼女の腹の中に消えていく。意外と学生である自分には痛い出費である。



「ところで、あの彼女は……」



 と、俺は【第2魔術部】と名乗る彼女の事について話を振るが、アリスは【知らん】とだけ答えた。



【私の持ちうる知識は、私が君の前に借りていた宿主との経験談と君の知識しかない。だから、【第2魔術部】と名乗る彼女についての知識はない。なんでも知っていると思うな】



「すまない……」



 言われてみればそうだなと頭を下げる俺に、アリスは【良い心がけだ】と言う。



【まぁ、推測で想像するのだとしたら彼女は我々の同類を呼び出そうとしていたのかもしれない。そうだな……人間の言葉で簡潔に表現するとしたら、悪魔とか妖怪とかの名前で呼ばれる生物をな】



「それって……。アリスのように、他人の身体に入る奴らって事?」



【彼らを私と同類にしないで欲しいな。私は共有型粘膜性従生物。あの時、君を助けた命令の力も君あってこその物だ。しかし、悪魔や妖怪と言う彼らは非従生物。元々の持ち主の精神を消して、溶け込む事が目的の奴らだ。私は君とこうして喋っているが、彼らの場合はまず君と言う精神は既に存在しない。分かったら、自分の幸運を少しは理解するべきだね】



 精神が……消されてるか。もし、このアリスが居なかったら【第2魔術部】とかの部によって、俺もそんな風になっていたのかも知れない。その点に置いてはアリスに感謝をしておくべきだな。



【まぁ、私はしばらく君の身体で厄介になる。だから、人間の言葉で言う所の賃貸料分くらいには働いてやろう。そうだな、君が欲しがっている友達だって命令権さえあればどうにでもなる】



「命令権って……あの……?」



 と、俺は頭の中に【第2魔術部】の少女の頭に剣が吸い込まれて、その後【命令(Call)! 帰還せよ(Go_Home)!】とされる現象を思い浮かべる。



【そうだな。あれは私の身体の一部を剣の形に錬成して相手に放つ行動だ。それにより、彼らは私達の命令に1度だけ従う、生きる人形になる】



「人形……」



【そんな感じの友達は作りたくない、か?】



「友達は欲しい。けれども、そんな得体も知れない力で友達なんか欲しくない」



 友達は確かに欲しい。友達が居る事で、俺の学園生活が潤いある生活になる事は言うまでもない。けれども、そんな得体も知れない、命令によっての友達は出来るならば作りたくないのだ。それだけは譲れない俺の矜持だ。



【そうか……。ならば、もうしばらく考えさせてもらうよ】



 そう言って、アリスは俺の腹の中に入っていった。



「考えさせてもらうって……何を? ……って、あっ!?」



 そんな事を考えていると、目の前には全部食べきったおろしハンバーグAセット、ご飯とお味噌汁付き(税込980円)があった。いつの間に……。と言うか、



「俺、全然食べてないんだけれども」



 はぁ、仕方ない。そう思いつつ、ずっと睨んでくるレジ係の少女の視線に耐えつつ、俺は1000円札を出して、20円をおつりとして返して貰った。話の代金として、これは安いのだろうかなとそう思いつつ。



=============

「【第2魔術部】の示崎心音(しざきここね)がやられました。謎の力によって、【第2魔術部】へと戻ってきましたので、【廃院】送りにしておきました」



「【第2魔術部】の部長。【第1魔術部】の俺が言うのも何だが、【廃院】送りにするのは早くないか? もう1度、チャンスをあげるのも温情じゃないか?」



「【廃院】を管理している【第2図書委員会】と【総合美術部】から催促があったんだ。『誰かモデルを寄越せ』ってね。このような形でなかったら、断っていたさ。けれども、このタイミングだからな」



「……それはお気の毒だと言っておこう。その土田琢磨は【第1魔術部】の方でも関わらないように言っておくよ」



「何にせよ、しばらくは鳴りを潜めるしかないしな、こっちは。さしあたっては、次の部長会議で彼の事は報告させていただくよ。じゃあね、あっちゃん」



「だ、誰があっちゃんだ! このバカンタ! バーカ! アーホ! 大好きだぜ、こらー!」

【次回へ続く】

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