【3月号】【第4話 新タナ天使ノ姿】
【死亡予定少女 作;CS4.8】
【第4話 新タナ天使ノ姿】
見事、僕は誘拐団『暴風雨』から四条大宮さんを助け出す事に成功した。これも、『アイサ』の力である。しかし、僕にはどうしても気になっている事がある。何故、アイサは未来の情報を予知する事が出来るのかと言う事である。最初はただの情報を集めるだけのアプリだったはずだ。それが今では未来を予知するアプリになってしまっている。いったい、これはどう言う事なのだろうか?
「考えていても仕方ないか……。……今は忍ちゃんを助け出した事を喜ぼう♪」
僕は頬を赤く染めて、「し、忍で良いですよ、武人君//////」と言う彼女の顔を思い出していた。あれは完全に僕に好意を抱いている。助け出した事は間違いじゃなかったのだ。
「明日からが楽しみだなぁ♪ まぁ、お前の事はまた考えるにして今は楽しもう♪」
上機嫌の僕は物言わぬ携帯にまでそう声をかけつつ、そのまま電源を入れる。『暴風雨』と戦っている時、もしメールが入ってそれで着信音が鳴ってしまったら拙いと思って、電源を切っていたのだ。
―――――――――だからこそ、気付かなかった。アイサがまた新たな不吉なニュースを持って来ていた事に。
『アイサから、あなたに向けてのニュースだよ! ニュースだよ!』
僕のアプリは、既に別のニュースを告げていた。それを見てビビる僕だったが、天使の姿を見て「あれ?」と思っていた。天使が杖を持っている時は良いニュースで、逆に蝋燭を持っている時は悪いニュースを告げているのである。しかし、その時の彼女は両方を持って現れていたのだ。
「もしかしてこれは、良いニュースでもあり、悪いニュースでもあると言う事だろうか?」
ニュースには良いニュースや、悪いニュースもある。けれどもそれは一面を見た場合である。そのニュースで得する人も居れば、損する人も居ると言う事だ。つまりこのニュースはある人から見たら良いニュースでもあるが、別の人から見たら悪いニュースでもあると言う事だろうか? けれども今までは、このアプリを使っている僕にとってそのニュースが良いニュースか、それとも悪いニュースで持っている物が違って来るはずだったのに。一体、このニュースはどう言ったニュースなのだろうか?
僕は興味心を抑えきれず、そのままそのニュースを確認した。
『香水業の天才中学生、王子保富美。日本、上陸』
「王子保富美?」
確か香水の本場とされるパリで修業をしたとされている天才女子中学生、だっただろうか? けれどもこれのどこが良いニュースであり、悪いニュースなのだろうか? 別にどこも悪くなさそうな、普通のニュースのように見えるのだが。
「まぁ、このニュースは僕には関係ないな」
僕はその時、そう思ってそのニュースを閉じた。
―――――――――翌日、その少女が僕達の通う中学に転校して来るまでは。
【次回へ続く】




