【4月号】【その4 ときめき】
【ここは魔物町 作;二人羽織】
【ここは魔物町 その4 ときめき】
ここは魔物が住まうのもま町。多くの魔物が住まうこの町で、今日も今日とて平和で、どこか可笑しい毎日が繰り返されている。
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その騎士の甲冑はボロボロながらも気品を感じさせる甲冑であった。首が無いその甲冑は、デュラハンと言う名前の魔物である。彼にはとっても大好きな彼女、妖刀の彼女が居る。
『パパ、許してくれて良かったね』
「あぁ、お前のおかげだよ。お前は本当に良い日本刀だよ。勿論、質だけでなくて、お前自身も良い奴だとは思うがな」
『は、恥ずかしいよ、デュラ君……♡』
「そう言うなよ、にほちゃん♡」
この2人は、親公認の正式なお付き合いをしているカップルである。つい先日も、危険とされるダンジョンを2人で踏破してきたばかりなのだ。
『けどね、デュラ君。あんまり、私ばっかり心配しすぎて身体を傷付けないでね。デュラ君の顔に傷でも残ってしまったりしたら、私、悲しくて泣いちゃうよ……』
そもそもデュラハンである彼に顔はないし、日本刀の妖刀である彼女のどこから涙が疑問視されるけれども、2人にとってそれは疑問にあげられる事では無かった。そう、2人はお互いに愛し合っていて、そんな事すら気づかないほどのイチャイチャカップルだからである。
「あぁ、大丈夫さ。この身体、鍛えているから、多少の攻撃なら全然効かないぜ?」
『そうだね、デュラ君の身体は鋼の肉体だから傷つかないね!』
デュラハンの身体は鋼の肉体と言うよりかは、鎧の肉体なのだけれども。まぁ、文字通りの意味で鋼の肉体であるのだけれども。
「まぁ、今日はお前の身体を隅々まで洗いつくさせていただくよ。傷も無い、完璧なボディラインを保つ事こそが、彼氏である俺の義務なんだから」
『まぁ、そうよね。私を粗末に扱ったりしたら、お父さんに怒られちゃうからね。今日もマッサージをちゃんと行ってね』
「あぁ、任せとけ」
デュラハンの彼氏が日本刀の妖刀である彼女のマッサージは、マッサージと言うよりかは砥ぎ作業とかに近い物だけれども。
『私としては……デュラ君の身体にマッサージしたいんだけれども……。すっごく硬くて、凝っているみたいだし……』
それはデュラハンの身体が鎧なので、硬くて当たり前なのだけれども。
『私の手じゃあ、全然凝りは解せないんだけれども……』
日本刀の妖刀である彼女の手がどこにあるかと思うのだけれども、その辺はスルーしておこう。
「良いんだよ、にほちゃん。俺の身体がどうなろうとも、構わないけれども、にほちゃんが傷付くのは彼氏として見ていられないからな」
『デュラ君//////』
「にほちゃん//////」
今日も元気にデュラハンの彼氏と、日本刀の妖刀の彼女はイチャついていた。
【次回へ続く】




