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月刊うろNOW! まとめ  作者: アッキ@瓶の蓋。
二人羽織先生作

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15/41

【3月号】【その3 逢引】

【ここは魔物町 作;二人羽織】

【その3 逢引】

 ここは魔物が住まうのもま町。多くの魔物が住まうこの町で、今日も今日とて平和で、どこか可笑しい毎日が繰り返されている。


==============

 僕の名前は一つ目小僧の一樹(かずき)。この魔物町に住む一つ目の妖怪だ。とは言っても、一つ目以外は人間と変わらない、つまらない妖怪である。けれども、そんな僕にも彼女が居る。乙姫(つばき)と言う名前の、舞首の妖怪である。乙姫さんは僕の事が好きだと言ってくれて本日、遂にデートする事になったのだ。


「デート……。楽しみだなぁ……」


 僕はそう言いつつ、彼女が来るのを待っていた。そこに、彼女が走って来た。慌てているようで、こっちに手を振りながら「ごめーん♪」と言いながらこっちに向かってきている。そして着いた途端、「だいじょーぶだった?」と口にしていた。


「うん、大丈夫だったよ」


 と僕が言うと、彼女が声を出した。


「うん。それじゃあ、ボクと一緒に映画に行こうか?」

「メイクに時間がかかっちゃって……。ごめんね、かずくん。けど、デートはこれから、だよね? 挽回出来るよね?」

「今日はお姉さんといけない夜の遊びでもします?」


 乙姫。彼女は、3つの首を持ち、その首それぞれが意思を持つ妖怪なのである。


==========

 乙姫さんには3つの首があり、3つの顔がある。1つの顔はボクっ娘のクールな少女、1つの顔は僕をかずくんと呼ぶ少女、1つの顔は大人ぶった少女。それぞれが僕の事を愛していて、けれども彼女の身体は1つしかない。『女にはいくつもの顔がある』とは良く言った物だけれども、本当に顔を持っているのは彼女くらいだろう。


「え、えっと何から始めようかな? 乙姫さん?」


 僕がそう言うと、彼女は返答の言葉を出していた。


「映画にしようよ。今日はボクと映画でのデートを楽しむはずだっただろう?」

「かずくん!? 映画も良いけど、やっぱりこ、ここ、恋人なんだから家に来てくれないかな?」

「大人の遊びに、場所なんて関係ないわ。けど、人が来ない静かな場所が良いと思わない?」


 と、乙姫はそう言う。僕は頭を抱えて困ってしまう。

 ……乙姫は初めて出来た僕の彼女だ。だから、彼女の事を出来る限り理解しようと思っている。けれども彼女は、3つで1つなのだ。最初から3つの首と思考を持っていて、彼女達は3つで1人なのだ。誰かの言葉だけを受け入れる事は、他の2人の言葉を否定する事になる。3人とも、いや3つとも僕の事を愛してくれているから、その否定が難しいのだ。


 そんな彼女、付き合うのはとっても難しいし、別れた方が良いと思う人も居るかも知れない。けれども……。


「じゃあ、僕は映画で良いけど……3人とも、それで良いかな?」


 ニコッと顔を向けると、乙姫の3つの首は全員顔を赤らめて、


「「「はい//////」」」


 って、答えてくれる。その様子が、僕が彼女の事を一途に見ていられる理由である。

【次回へ続く】

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