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月刊うろNOW! まとめ  作者: アッキ@瓶の蓋。
輝き閃光先生作

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【3月号】【4th.Fright 曇天のアサイン①】

【夜空の高き一番星 作;輝き閃光】

【4th.Fright 曇天のアサイン①】

 夜間鳥行飛行訓練。北行紅葉教授がボクの父に頼んだ飛行技術訓練である。

 夜間、レーダーと通信が使用不可な状態で、鳥の行動だけを見て場所を予測して、飛行すると言う前代未聞の飛行である。こんなふざけた訓練を受けたがる人間は居なかったんだけれども、そのふざけた実験を快く引き受けたのがその当時、最も優秀な飛行機乗りだったボクの父だったのである。そして父はそんな無謀とも言える飛行を行い―――――――――伝説となり、飛行機の操縦職から退いてしまったのである。

 ――――――――――だからボクはそんな実験を仕向けた、北行紅葉と言う教授が嫌いなのである。


「今回の講義は、夜間鳥行飛行訓練さ」


 そんな彼と出会うだけでもボクとしてはむず(がゆ)い話だったのだが、その上にボクは北行教授の言葉を聞いて怒り心頭だった。


「くっ……!?」


「葵君? 大丈夫?」


 ボクが顔にしわを寄せ、さらに拳を強く握りしめている様子を見て、隣に座っていた雪風が心配したように聞いて来た。雪風もまたボクと、ボクの父についての事はある程度知っているし、だからこそ今、北行教授にどう言った気持ちを持っているかも知っているはずなのである。


「まぁ、けれども飛行機に関わる君達ならば葵岩志(あおいいわし)の事も知っていると思う。あの伝説の操縦士のように、君達を伝説として終わらす気は無いよ。そこは安心して貰って良い。

 時代はあれから進歩はしているのだ。――――――――そう、進歩しているのだ」


 そう言って、北行教授は黒板にマグネットを使ってぺたりと、1枚の大きな紙を張り付ける。その大きな紙には最新式の飛行機訓練シュミレーターの事が記載されていた。


「あの頃には無かった最新式のシミュレーター。これを使ってその状況を電脳世界にて再現します。これならば葵岩志のようにはならずに済みます。ですので、安心して行ってください。

 チームは3人1組で行います。その人選はそちらに一任するので頑張ってください」


 そう言って、北行教授は「準備があるので失礼する」と言って部屋を出て行き、ボクはまさかの父が行う訓練を受ける事に呆然としていた。

==================

「教授!」


 と、私――――――スター大学の院生である初雪深雪(はつゆきみゆき)は北行紅葉教授にそう大きな声で呼び止めた。先程の色々な飛行機に関する者達を集めた北行教授の講義、実は私も教授の手伝いとして入っていたのだが、あれはあまりにも酷だと思い、教授に一言申し上げに来たのだ。


「どうした、ユキユキ?」


「教授……。私の名前をそんなどこぞのアイドルみたいな名前で呼ばないでくださいよ……」


「ユキユキはユキユキでしょうが。初雪深雪、だからユキユキ。―――――――――それでユキユキ、私に何か用かな?」


 と、そう思って、私は「そうでした」と慌てて本題に入る。


「さっきのシュミレーションの説明は何ですか!? 葵大先生の息子さんもいらっしゃるし、未来ある若者も居ると言うのに、葵大先生の業績をバカにしたようなあのシミュレーション内容はなんですか?」


「あぁ……そうだった。ユキユキは《葵信者》だったな」


 まるで大した事のない事を思い出したかのように、北行教授はそう口にしていた。《葵信者》とは、葵岩志を崇拝する者達を指す言葉である。私はその名の通り、葵岩志さんを1人の人間として尊敬している。少なくともこの北行教授よりかは。


「葵岩志大先生は偉大な人物で、私のように、今でも崇拝する人物が多いです。そんな彼はあなたのせいで……」


「私のあの実験が彼を有名にしたんだよ、ユキユキ」


 と、私の言葉を遮るようにして北行教授がそう言う。


「―――――――彼は元から優秀な飛行機乗りだったが、彼くらいの飛行機乗りならば歴史を紐解けば数多く存在する。けれども彼は、私の実験を通して、私を悪人とする事で、英雄になって、引退したんだ。彼の英雄伝には私と言う存在が居る事を忘れては居ないかい、ユキユキ?

 まぁ、もうそろそろ、そんな価値観は覆させて貰って、私は悪人を引退させて貰おうじゃないか」


「そ、それは……。確かに教授の活躍もありますが……。けれども悪人を引退するのは無理でしょう」


 けれどもそれは極論だと思う。今、飛行機の世界では葵岩志は圧倒的な英雄であり、北行教授は圧倒的な悪人である。今さらその価値観を変革するのは難しいと思うんですが……。


「けれども、その《北行紅葉教授=悪人》と言う価値観を変革する方法が1つだけある。それはあの、葵岩志の息子、葵空君が握っている」

【次回へ続く】

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