【2月号】【3rd.Flight 青空のテスト・フライト②】
【夜空の高き一番星 作;輝き閃光】
【3rd.Flight 青空のテスト・フライト②】
北行紅葉教授が専攻している鳥行学とは、鳥の生態から方角や場所を理解する学問である。冬になると北へと向かう鳥が飛び去る方向から北を理解したり、特定の地域に生息している鳥からだいたいの場所を把握する。そう言った鳥に関わる事全てから、方角や場所を理解する、夜間よりかは昼間に使われる事が多い学問である。
「やぁ、葵君と雪風さんでしたね。既に他の生徒は来ているので、早く座っていただけますか?」
「はい! 分かりましたよ。葵君、入りましょうか?」
「はぁー……」
ボクは雪風に首根っこを掴まれ、北行紅葉教授の部屋へと向かっていた。
北行紅葉教授はボクにとって因縁深い相手である。彼は夜に鳥行学を使う実験体として、我が父を選んだ。そしてその夜間飛行での鳥行学において―――――――その実験に失敗して、死んでしまった。その父の葬式を行ったんだが、北行教授がやって来てボクに向かってこう言ったんだ。
『実験は失敗してしまったが、実験のデータは取れた。これを今後に繋げておきますね。その意味では君のお父さんは十分に役立ってくれたよ』
その時の無駄に腹立つ笑顔が今でも、心に残ってしまっている。それ故にボクはこの北行教授が嫌いなのである。
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そんな話はさておき、と言うか置かれてしまっているのだが、ボク達は席に座った。既に他に有名な学生達が席に座って、北行教授の授業を待っていた。
「国立青空学園からは気象予報士の資格も持っている茜空夕陽、私立鳥籠学園からは飛行訓練トップクラスの成績を持つ藤代兄弟の2人……他にも色々と有名な生徒がこの講義を受けに来ているようですね」
と雪風の説明を受け流しつつ聞いていたら、1人の少女と目があった。
「白衣……?」
その少女は白衣を着て『鳥の生態』と書かれた本を読んでいる少女だった。ここに居るのは、飛行士や整備士、指針士と言った人ばかりだと思うのだけれども、白衣と言うと研究員とかのイメージがあるけれども、どうしてここに白衣を着た少女が……? まぁ、良いか。
「とりあえず座っておくか」
「そうですね」
そう言って、ボクと雪風は席に座って待っていた。
そしてその数分後、北行教授が教室に入って来る。
「やぁ、皆居るようだね。感心するよ、ここの生徒だったらここまで集まらないよ。鳥行学に興味を持ってくれて嬉しいよ」
そう言って、北行教授はボク達の方を見つつこう言った。
「さぁ、君達には早速だけれども、伝説のパイロット、葵パイロットが受けた実験に協力して欲しい」
(まさか……それって……)
そんな想いの中、ボク達は北行教授の最初の授業内容を通達された。
「今回の講義は、夜間鳥行飛行訓練さ」
【次回へと続く】




