プロローグ
私が前の生を受けていたのは1000年以上も前のこと。
今から考えればそれはもうたいそう大昔。
黒髪黒目しか存在しない世界の中で、赤髪赤目の私は異質中の異質だった。
血を吸った色だと、ある人には恐れられ、ある人には蔑まれる。
それは、とても孤独な日々。
そんな前世の中で何よりも強く残った悔いを、今世まで引きつれてしまったのかもしれない。
私は、いや、私の存在は誰よりも大事だった2人の人生を歪めてしまった。
だから、心に誓っていたんだ。
もし万が一彼らにまた出会うことがあるなら、今度こそ一切関わることなく幸せを願おう。
私の心を救い出してくれた彼ら。
反対に、私の存在は彼らを不幸にしてしまったから。
そう、思っていたのに。
「ああ、ミリア。可愛い、本当に、可愛い」
「ミリア、怯えんな。大丈夫だから、絶対大丈夫」
どうして、こうなってしまったんだろう。
左足に嵌る枷から伸びる鎖。
後ろからすっぽり私を抱きしめる王子様に、私の右手に自身の左手を絡めながらそこに口付けてくる騎士団長様。
1000年経った今でも、こうして私は彼らを解放してやれない。
何の因果か、またこうして出会った私達。
前世の別れ方が後味の悪いものだったからなのか、それとも元来の彼らの優しさからなのか、こうして王宮の奥深くに匿われただただ守られている私。
ちゃんと、解放してやらなきゃいけないのに。
今度は、ちゃんと幸せになってもらいたいのに。
「ミリア、ミリア。もう逃げてはいけないよ?いい子にしてたら、うんと甘やかしてあげる」
「こら、目そらすなミリア。俺達だってこれ以上枷増やしたくないんだ、だからちゃんと守られててくれよ頼むから」
気が急くばかりで、何一つ打開策が見当たらない。
そしてそれを密かに喜んでしまう醜い自分にも吐き気がする。
今日もただただ時間は流れていた。
小説家になろうで初めて小説を書かせて頂きます。
見苦しい点等々、多々あるとは思いますがお手柔らかにお読みいただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。