◆危機◆
いつの間にか読んでれる人が増えてビックリしました笑。文章下手ですが更新頑張っていきます!
――――――翌日、マーシャル城王室。
「レイ様。ザリアス帝国は着々と周りの小国を支配下におき、力を付けてきています」
「そうか、……やはり只黙って平和を満喫する気はないようだな」
現在、マーシャル王国とザリアス帝国は休戦協定により戦争をしないとお互い誓ったが、ザリアス帝国の王、レイモンド=ザリアスはマーシャル王国といつ戦争が出来てもいいように準備を進めているようだ。休戦協定の時も、自国での被害が大きすぎてやむを得ず同意してくれたようなものだった。
「あの男は誓いなんてきっかけさえあればすぐ破るだろう、……。争いを好む奴だからな」
「我々も戦力を強化したほうがよろしいのではないでしょうか?」
「ザリアス帝国のように無理やり支配下におくのか?これは大国が一番やってはいけないことだ。力があるからといって小さな国を支配するなど断じて認めん!……それに兵士じゃない普通に暮らしている者達を、戦争の準備の為兵士にするのもダメだ」
「……ならどうするのですか?今戦争を起こされると我々は負けてしまいますよ!現在のマーシャル王国とザリアス帝国の力の差は目に見えています!攻めこまれたらこの国は終わりです!」
力が入り机を叩いて思わず席を立ってしまうが、少し深呼吸をして「すいません」と謝り席についた。
「マリース、お前の気持ちは分かる。騎士団長として、この国の平和の為一番働いているのだからな。しかしザリアス帝国と同じ事をするのはダメだ」
「……元々、小国はあまり我々の事をよく思っていない。同意のもとに支配下に入ってもらうなど不可能でしょう」
「……三十年前の戦争で小国は多くの命を失った。マーシャル王国とザリアス帝国の戦争なのに関係もない小国で命が失われたのだ。しかも幼い子供達や年老いた者達まで。我々の戦争に巻き込まれたのだ。よく思っていないのは当然だろう」
二人の間に沈黙の時間が流れる。
「……ならいっそのことイザベラ様をエドワード様と結婚させるというのは……」
「無論却下だ」
「ですよね……。まぁ仕方ない、とりあえず我々騎士団はザリアス帝国を監視してきます。今は戦争が起きないことを祈りましょう」
「すまんなマリース。お前には苦労ばかりかけて」
「私はこの国で貴方に仕える事が出来て幸せです。私が出来る事なら何でもします」
「お前がいてくれてホントに助かるよ。しかし無理はするな?たまには妹にも会ってやれ」
「え、………そ、そうですね。でも今はザリアス帝国の方が先ですから…」
「……そうか。じゃあ頼んだ」
「はい」
マリースはレイに一礼し、王室を出ていった。するとマリースとの入れ替わりでイザベラが入ってきた。
「おぉ!イザベラ」
「お父様、おはようございます」
「今日はフルーダ学園は?」
「今日は休みました」
「そうか、…まぁ座れ。今お茶を入れよう」
「いいえ、大丈夫です」
レイは少し残念そうにイスに座った。
「それで何か聞きたいことがあって来たのではないのか?」
「はい、お父様は……古代魔法を知ってますよね?」
予想もしなかった言葉にレイは少し驚く。
「古代魔法か……もちろん知ってはいるが」
「私も知っています、たしか中には国を滅ぼす魔法もあるとか……。古代魔法を使える人物がいたら凄い事ですよね」
「たしかにそれは凄い事だ。しかし、国を滅ぼす魔法、それは古代魔法の中でも伝説級の魔法だろう。それを使えるのはあの災悪の魔法使いくらいじゃないか?それ以外に古代魔法も少なからずあるみたいだから、……古代魔法を使うにはかなり腕のたつ魔法使いが千人程いたら使えると思うが」
レイは笑いながら話すが、イザベラは本気で驚いていた。
魔法には火・水・氷・土・光・闇・雷・風・無、等の多くの種類があり、それぞれ下から下級・中級・上級・最上級と魔法の強さによってクラス分けされている。古代魔法は最上級の上だろう。しかし、そこまで多くの魔法使いを集めないと使えない程強力な魔法だとは知らなかった。
「………千人。それは一人で使えないの?」
「そんな事は不可能だな。まぁ魔王や龍人の王なら使えるかもしれないがな。古代魔法はその名の通り古代の魔法。初代勇者がいた頃のよりも前の魔法だな。強力が故に魔力をかなり消費するらしいんだ。中には自分の行きたい場所に移動出来る、そんな素晴らしい魔法もあったみたいだぞ?」
イザベラは昨日の事を思い出す。たしかシュアは一瞬でマーシャル城の屋上に瞬間移動していた。本当に古代魔法だったんだ……。
「………そうなのですか、分かりました」
「それだけか?」
「ええ、ありがとうございますお父様」
イザベラは寂しそうな顔をするレイを無視して席を立ち、王室を出ていった。
そしてイザベラは早足でミーシャの元へと向かった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
学園も終わり、ミーシャは一人部屋に戻っていた。
「結局昨日はシュア様見つからなかったし、どこに行ったんだろう」
昨日、ゼシュアが姿を消してから辺りを探してみたが、結局見つからなかった。
「また明日探そうかな、今日はもう寝よ」
ミーシャが戸締まりをし、眠りにつこうとする。すると―――――ドンドンドン!!
扉を何度も力強くノックする音が聞こえる。
「ったく、はーい今出ます」
扉を開けると、そこには息を切らしたイザベラがいた。
「どうしたの?そんな息を荒げて……」
「はぁ……はぁ……とりあえず入れて」
ミーシャはイザベラを中に入れ、とりあえず水をあげた。
「ん………ありがと」
「それで用は?今日学園にもいなかったし」
「……あんたが昨日一緒にいたシュアって奴は?」
「シュア様?……もういなくなっちゃったよ」
「え?」
「たぶんマーシャル王国にはいるけど、場所は分からないの。昨日私を送ってくれた後、すぐに姿を消しちゃったから」
それを聞き、イザベラは力尽きた様に床に寝そべった。
「あんた……シュアの事何か知ってるの?」
ミーシャは驚き、少し戸惑った。
「え?く、詳しくは何も知らない……(災悪の魔法使いなんて言えない!)」
「そうなの……」
「ど、どうして?」
「シュアに話を聞こうと思って。古代魔法って私が思っていた以上にとんでもなく凄い魔法だったの。もしシュアがマーシャル王国にいてくれたら、ザリアス帝国だってむやみに手を出せなくなるなって思ったの」
なるほど、ミーシャは思った。
たしかにゼシュアがマーシャル王国に手を貸してくれたら、ザリアス帝国は手も足も出ないだろう。むしろ支配することだって可能かもしれない。だけど――――。
「シュア様は協力しないと思うな……」
「え?どうして?」
「あの人は――――――ん?」
マーシャル王国内に突如サイレンが鳴り響く。このサイレンはマーシャル王国に危険が迫ってきた時になる緊急警報だ。
「これ……どういうこと?ここ数年間、こんなこと無かったのに……ザリアス帝国じゃないわよね?」
(まさか……シュア様が何か関わっているの?だけど危害は加えないと約束したはず…)
「あ、ちょっと!」
「イザベラは先に避難しといて!」
ミーシャはイザベラを置いて部屋を飛び出し、ゼシュアを探しに行った。