7.占星術ってなんだろう。
私は持ち込んだ本を次々と読み進める。
昔―――。
とある一人の占星術師が王宮にいた。
その者は未来を予言できると称えられ、皇帝の傍にいることが許されていた。
国が迷った時、戦うべきなのかそれとも、戦わずして守るべきなのか―――
皇帝は信頼している占星術師に、その答えを求めていた。
星を仰ぎ、言葉を紡ぐその者の判断は、幾度も国を救ったという。
ルーシオン王国は、長い間平和を保っていた。
だけど…星はいつまでも、人にとって都合のいい未来だけを語るわけではなかった。
ある夜、占星術師はこれまでとは違う星の並びを見た。
太陽と月が、同じ夜空に並ぶ日。
王家に、新しい命が産まれる夜。
占星術師は、星の光を見つめながら、こう告げたという。
「その夜、国の未来は二つに別れます。王家の光は強くなり、同時に深い影を落とすでしょう。
その影では―――名を持たぬ少女が、生まれます」
皇帝は、その言葉の意味を問いただした。
占星術師は、しばらく黙ったあと、静かに答えた。
「その子は、祝福にもなります。そして―――厄災にもなります。
それを決めるのは、星の運命ではなく、王…貴方自身の選択です」
このあとはどうなったのか、ここから先の記述は公式史には残ってなかった。
…きっと、都合が悪かったのね。
ページを次々と捲ると、見覚えのある紋章が目に入った。
「…これって……」
胸の奥がざわりと波打つ。
私は立ち上がり、引き出しに手をかけた。
―――ママの形見である箱。
その底面に刻まれている紋章は、先程見た本に描かれていたものと同じだった。
もう一度本を手に取る。
そこに記されているのは、王宮に仕えた占星術師の紋章。
―――どうして、ママが。
しかし続く頁には
王宮に仕えた占星術師の家系は断絶した―――と記載されていた。
……本当なのか。
私は手元の箱に目を送る。
もし、これがそうなのであれば…まだ開けるべきではない。
私は本を閉じ、箱を再び引き出しの奥へとしまった。




