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悪役令嬢の願い  作者: なむそ


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6.学びます。




リサがいなくなってから、半年の時が流れた。

私の部屋へ訪れる足音は、ぱったりと消えてしまった。


「あの子の面倒見たら…」

「味方をすれば、公爵様の反感を買ってしまう」

「やはり、あの子は……」


―――〈悪魔の子〉。


そんな陰口を、私は聞き続けている。

そして、しまいにはこれを機にあからさまに私をいじめてくる侍女まで現れた。


「あなたの面倒見る人なんてもういないのよ」

「自分のことは自分でやりな」

「その服のほうががお似合いよ」


嘲笑いながら投げ捨てられたのは、少し汚れた侍女服だった。


部屋が埃臭くなっても、私の短い手で届く範囲で黙々と掃除をする。


食事は運ばれてくることもあったけど、腐っていることのほうが多かった。

だから私は、厨房に誰もいないことを確かめてから、残された料理ををいただくこともあった。


「…フゥ」


この生活も、慣れてしまえば何も思わなくなった。

それに、過干渉されることもない。


だから、空いた時間は書斎へ向かうことが増えた。


誰もいない空間。

…私だけの空間。


ここにいると、少しだけ落ち着くことができた。


目の前の一冊の本に、そっと手をかける。



この国は、王家を頂点とする階級社会。

王族、貴族、平民―――生まれで全てが決まってしまう。


表向きは平和で、豊かな国だと語られている。

けれど、その均衡はとても脆い。


星の巡りひとつで、未来が祝福にも、厄災にも変わる。

だからこの国では、星を語ること自体が、時に罪になる。

……それでも、この本はその事実に触れていた。


"正しい歴史"として認められた記録。


―――ルーシオン王国公式史。



さらにページをめくると、星に関する記述が続いていた。

占星術―――そう呼ばれていたものだ。



星を読み、国の行く末を占う者たちが存在した。

―――ルーシオン王国においても、それは例外ではない。


かつて王家には、天象を読み解く者たちが仕え、国の節目において星を仰いだと記されている。

しかし、星の解釈は人の心を惑わせ、時に争いと混乱を招いた。


そのため現在、占星術は学問としてのみ扱われ、

未来を断定的に語る行為は、王命により禁じられている。



目を引く内容だった。


…学問としてのみ。

それなのに私は、ずっと前から星と結びついているような―――

そんな、説明のつかない感覚を抱いていた。


次々とページをめくる。

この国は昔からずっと、星と共にあったことが分かった。


それなのに今では禁術のように扱われている。

どうしてなのだろう、と疑問が浮かんだ。


占星術をうまく扱えば、この国はもっと良くなるはずなのに…。

少なくとも、私はそう思った。


―――もっと調べなくては。


私は誰にも見つからないように、持てるだけの本を自室へと運んだ。



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