1.生まれました。
その日、王家の夜は慌ただしい。
新たな生命が誕生を迎える。
しかし、急に王宮内の光が消える。
一箇所を除いて―――。
「太陽と月が今夜混ざり合うとき、この国は血を見る。
その災は一人の名も無き”少女”に集うであろう…」
唯一、光が灯されているのは牢獄だった。
その中には、王家に刃向かった罪を着せられ、
ただ処刑を待つ男がいた。
男は知らない。
自分の発する言葉が、己の意思ではなかったことを…。
―――そしてその夜、王家では双子の王子が誕生した。
真相は深まるばかり―――。
ただこの出来事は皇帝により公になることはなかった。
――――――――――
数ヶ月経った頃、とある公爵家でも新たな生命が誕生する。
「…エレノア!しっかりしろ!!」
銀髪の男は出産したばかりの女性へと声をかける。
「公爵様!血が止まりません!!」
公爵と呼ばれる男性は顔がみるみると青ざめていく。
「そんな…。どうにか止めろ!」
公爵は女性の手を握るも、温もりを感じなくなる。
そして女性はそのまま息を引き取った。
「エレノア!…お願いだ。目を開けてくれ…」
公爵のその姿に涙をすする者、やるせない顔をする者と悲しい雰囲気が漂う。
しかし、その静寂を破るのは産まれたばかりの赤子。
「…オギャア!オギャア!」
公爵は産声に視線をやる。
冷たくなってしまった愛おしいエレノアと違って、
赤子の力強い鳴き声が、あまりにも眩しかった―――。
胸の奥底で、名を持たぬ感情が、
静かに溢れていった。
「…その子を隔離しろ。今後、私の前に姿を現すな。」
そう言って自分の子を見捨てるかのようにその場を離れるのであった。
これがネメシア・ルーインハイトの誕生―――。




