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私が魔王を倒しました。 とある書記官と5人の嘘つき勇者  作者: みさと
第五章 当千のマリス・天穹遍くヤディオルシガ
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4話 明かされる計画の全容

「これなら、『魔王』ディオとマリスの目的が一致し、協力関係が生まれるはず」


 仮説でしかない。


 証拠も足りない。


 だが、可能性だけで言えば――


「全然あるな……」

「そして、今もなおその計画は動いている……順調に――」


 計画は進み続けている――


 だとしたら――


「次に狙うのは……王都!!」


 キーヴァの回答に、アシュリンは指を鳴らして返答した。


「その通り」


 しかし、キーヴァにはまだ疑問がある。


「王都を狙うとしてもどうやって……結構警備固いよあそこ?」

「決まってるじゃない。カガヤキの魔法は人間を爆弾に変える魔法……そして、魔王領から帰ってきた人間がまだ二人いる」

「エーデル・クラークとギアロイド・サリバン……」


 ヴィンスの回答に、アシュリンは頷いた。


「そして、その二人は今のところ『本物の勇者』を名乗ってるのよね?」



 ああ、なるほど――

 ヴィンスは計画の概要を完全に理解した。


 『偽物の勇者』騒動を起こす。


 当然、全員を尋問する。


 アイゼンハウアーが違うと見破られるのは織り込み済み。


 しかし、爆発させることで裏の存在を匂わせる。


 調査を急ぐ。


 ノアという大英雄を『勇者』だと誤認する。


 式典を行っている最中に、カガヤキの魔法が発動。


 混乱の中に進行し、講和。



 これが、正規の計画ルート。


 

 例え、ノアが見破られたとしても、消去法でエーデルかギアロイドが『勇者』に決定される。

 そうなっても、問題ない。

 どちらだとしても、式典を行っている最中に、カガヤキの魔法が発動する。


 だからつまり――


「そう、『勇者』なんていなかったのよ、最初からね」


 アシュリンの言葉は、ヴィンスの心に深く刺さった。


 だが、なぜだろうか――


 今度は心が折れなかった――


 その代わり、心に響いていたのはアシュリンの、あの言葉――


 『貴方が希望になりなさい、ヴィンス・バーン』



 ふと、アシュリンの顔を見た。

 アシュリンは――笑っていた。



「さぁ、どうするの『勇者』様?」



 ――何とも意地悪な質問だ


 ヴィンスはそう思った。


 いや、アシュリンは魔族なのだから当然か――


「……行くぞ」


 ヴィンスは立ち上がり、荷物を手にとってテントを出た。

 不思議と笑みがこぼれた。


 その後ろにキーヴァが――そして、アシュリンが続いた。


「向かう先は王都アズリンだよね、お兄ちゃん?」


 嬉しそうにキーヴァが聞いてきた。


「いや、アズリンには向かわない」

「え」

「その代わり、キーヴァには伝令をお願いしたい」

「どこに?」

「西部クレアモリス城塞と、ロスコモン城塞だ」


 そこにはエーデル・クラークと、ギアロイド・サリバンがそれぞれ留置されている。


「どうやら閃いたようね、副書記官長様」


 アシュリンは、笑みを浮かべて言った。


「ああ、勝利の一手……いや、逆転の一手がな」


 ヴィンスは笑っていた。

 アシュリンも笑っていた。


「……全然分かんない」


 キーヴァだけは、ちょっと分からない様子だった。

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