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6話 アシュリンの理由

 ヴィンスの『違和感』を聞き終わると、アシュリンは少しため息交じりに言った。


「ご立派ね」

「バカにしているように聞こえるな」

「ええ、バカ正直だと思っただけよ」

「……褒めてるのか?」

「ご想像にお任せするわ」


 多分、褒めていないのだろうと、ヴィンスは即座に理解した。

 いつものアシュリンらしい皮肉と嫌味。

 だが、このまま言われっぱなしなのも癪なので、少しばかり言い返すことにした。


「ご立派なのは君もだろ?」

「……どういう意味かしら?」


 アシュリンは不意を突かれた様子だった。

 と言っても、本人は影の中なので、声色でそう思っただけだ。


「『違和感』を感じているのは俺だけじゃないってことさ」

「それは、私のこと?」

「ああ、じゃなきゃ付いてくる理由がないだろ?」

「気にしてたのね」


 気にしていた。


 いくらアシュリンが優しい魔族だとしても、依頼された仕事以上のことをやるのは優しいを通り越している。


 ――いや、アシュリンならやるのか……?


 なんにせよ、何か理由があって付いてきているのは分かりきっていた。


「まぁ、まだ何も分からっていないけどね」


 アシュリンの答えは簡潔だった。

 嘘を付いている感じもない。


「と言っても、目星くらいはついているんじゃないのか?」


 ヴィンスは軽い相槌のつもりで言った。

 アシュリンは少し間を置いて、ポツリと言った。


「まぁ……ぼんやりね」


 まさかの返答だった。


「本当か⁉️」


 驚きのあまり前のめりになって聞いてしまった。

 自分の影に向かって。

 状況を知らない人が見たら、多分ヴィンスの頭がおかしくなったと思うだろう。

 アシュリンはその様子を見ていたのか、呆れながら言った。


「悪いけど、まだはっきりとしてないから教える気はないわよ。適当なこと言って、貴方の推理の邪魔はしたくないし」


 もっともな意見だった。

 だが、少しでも意見を聞いておくのはありじゃないだろうか……。

 頭の中で思考を巡らせていると、キングスロード城塞の城門から、キーヴァが手を降って呼びかけてきた。


「お兄ちゃん‼️ 準備できたってー‼️」


 どうやら取り調べの準備が整ったようだ。


 まだアシュリンから聞き出せていない。

 『違和感』の整理も終わっていない。


 だがもう、やるしかない。


 ヴィンスは覚悟を決めた。


 次にこの門から出てくるときは、『本物の勇者』と一緒に――


 そのことだけは心に決め、城塞の門をくぐって行った。

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