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私が魔王を倒しました。 とある書記官と5人の嘘つき勇者  作者: みさと
第三章 軽口のアイゼンハウアー
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16話 点と点で結んだ距離

「嘘だね!」


 キーヴァの大きな声が峡谷に響いた。


「そんなわけ絶対に無い‼️」

「私は頼まれたことをそのまま答えただけなのだけど……」

「あんたが嘘ついてるかもしんないでしょ‼️」

「あなたがそう思うのは自由じゃない? でも、あなたのお兄さんはどうかしらね」


 キーヴァは、ヴィンスも同じ意見だろうと思っていた。

 アイゼンハウアーの証言に疑問を持っていたのは同じだからだ。

 しかし、キーヴァが見たヴィンスの顔には――笑顔が浮かんでいた。


「なるほど、点と点か」

「ええ、点と点よ」


 ヴィンスとアシュリンはお互いを見てニヤニヤと笑っていた。


「……なにこれ」


 キーヴァだけが、状況を理解できなかった。


「つまりな――」


 ヴィンスはキーヴァに耳打ちした。

 そして再び、キーヴァの大きな声が峡谷に響いた。



 その声を最後に、峡谷は静寂に包まれた。

 


 ◇ ◇ ◇



 再びヴィンスとキーヴァの姿が目撃されたのは、翌日だった。

 トバカリー城塞のアイゼンハウアーが留置されている部屋を訪ねていた。


「随分と待たせてしまいまして、すみません」


 ヴィンスは笑顔でアイゼンハウアーの対面に座った。


「本当、随分と待たせたねぇ。嫌がらせでもしているのかと思ったよ」


 ドア付近に立っていたキーヴァが強く舌打ちをした。

 アイゼンハウアーの態度は、ヴィンスが最後に会った時と変わっていなかった。

 大柄で、無礼で、相手を小馬鹿にした態度。


 だが、ヴィンスは笑顔を崩さなかった。


「貴方を歓迎する準備に時間が掛かりまして。でも、やっと整いました」

「そりゃよかった。それじゃすぐに行こうか」


「の、前に確認をさせてください」


 と、ヴィンスは一枚の資料をアイゼンハウアーの前に差し出した。

 その資料は、アイゼンハウアーが以前証言していた魔族領内での道のり。


『バリーナ城塞から魔族領に入り、コロ平原とタウラ丘を抜け、魔王城のあるスイゴへ到達。おおよそ二週間の旅程』


「この証言と数字、間違いありませんね?」

「はは、やっぱりまだ疑ってるんだ」

「最後の確認ですよ」

「本当にこれが最後の確認なの?」

「もちろんです。この確認が終わりましたら王都まで送りますよ」


 アイゼンハウアーはその言葉を信用していなかった。

 最後の最後になってこんなことを言い出すなんて、完全に疑っていなければありえない。

 そして、ヴィンスの言葉には覚悟が読み取れる。


 ――何かを掴んだ?

 ――いやいや、多分これは……

 ――ハッタリだ。


 アイゼンハウアーの中で、考えが固まる。

 そして、はっきりとした言葉と余裕の笑みを浮かべて答えた。


「伝えた通りだよ。その旅程に間違いはない」


 確固たる自信があった。

 なぜなら、あの数字には根拠が存在するからだ。

 それは、王都側に保管されている資料だけではない、魔族が作った地図も参照している。

 王都側の知らない資料を使い、たとえ彼らが魔族側の地図を手に入れたとしても、数字は絶対に合っている。


 二段構えの完璧な証拠。


 事実は絶対に崩せない。


 その言葉を聞いたヴィンスの顔は――穏やかだった。


「そうですか。ありがとうございました」

「……終わり?」

「はい、これで終わりです」


 アイゼンハウアーは少しばかり拍子抜けした。

 ここから追求を行うものだと思ったからだ。


 ――思い違いか


 そう思い、席を立つと――


「動くなよ嘘つき野郎」

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