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私が魔王を倒しました。 とある書記官と5人の嘘つき勇者  作者: みさと
第三章 軽口のアイゼンハウアー
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1話 キーヴァはブチギレた

 昼時前、北西部にあるトバカリー城塞に着いた。


 のだが―――


「あったまきた‼」


 キーヴァは飲んでいたグラスを勢いよくテーブルに叩きつけた。

 あれだけ楽しみにしていた朝食だというのに、まるで酒場で荒れる船乗りのようだ。


「静かに食べなさい」


 ヴィンスがハムエッグを口に入れたと同時にキーヴァが身を乗り出した。


「お兄ちゃんは悔しくないの⁉」


 キーヴァは、今にも掴みかかりそうな形相だった。

 だが、ヴィンスはハムエッグが気管に入り、激しく咳き込んでいた。



 ことの発端は1時間前、ヴィンスとキーヴァがトバカリー城塞に着いた直後に遡る。


◇ ◇ ◇


「それじゃ、朝食の準備だけ頼みます」


 兵士達に朝食の依頼をしている間に、ヴィンスは聴取を終えておこうと考えていたのだ。

 相手の名前は、アイゼンハウアー。

 実を言うと、今回名乗りをあげた5人の中で一番信憑性が高い資料が揃っている。

 だが、それはあくまで提出してきた資料のみの話だ。

 実際に喋って見ればボロが出て、実は全ての資料が捏造だったという話は全く珍しくはない。

 だからこそ、資料が完璧な相手こそ慎重に裏取りをしなければならない。

 キーヴァの件があり、なんとも肩透かしなスタートだったが、やっと仕事らしくなってきた。

 ヴィンスはアイゼンハウアーが寝泊まりしている部屋へ向かうと、既にキーヴァが待っていた。


「まだ朝食じゃないぞ」

「分かってるよ‼」

「んじゃどうした」

「え、普通に仕事の手伝い」

「手伝い?」

「おにいちゃんが言ったんじゃん、仕事手伝えって‼」

「いや、お前に聞き取りの仕事は無理だから、護衛だけしててくれ」


 ヴィンスはそう言った後に、しまった。と思った。


「だったら護衛として一緒に入るね」


 キーヴァは得意気な顔をして、ヴィンスを見ていた。

 子供の時ならあーだこーだ言って話を無しに出来たが、ヴィンスは既に大人となり、副書記官長という役職まで得ている。

 話を無しにすることはできない。


「……分かったよ。とにかく、うるさくしないでくれ」

「はーい」


 キーヴァはご機嫌な様子で、ヴィンスの後ろへ回った。

 ヴィンスは、ため息を付きながらドアを開けた。

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