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幸運を運ぶ麦わら帽子

空色杯投稿用作品です。

サクッとお読みください。


 五月五日。こどもの日でもあるが、同時に立夏と言って夏の始まりを告げる日でもあるらしい。


 俺は近所の駄菓子屋で買ったパイナップル味の棒アイスを店の前にあるベンチに腰かけて食べていた。


 俺はこの店が大好きだ。

 店主のおばあちゃんは祖母の顔すら知らない俺を孫のように可愛がってくれる。知識も豊富でいつも色々なことを教えてくれる。

 それを聞きながら、おばあちゃんが飼っているカナリアの世話をするのが好きだった。


 明るい黄色の綺麗な鳥。「カナリアはね、幸運を運ぶ鳥なのよ」とおばあちゃんは言っていた。

 もしそれが本当なら、おばあちゃんに幸運を運んできてほしいと思う。


 この店はおばあちゃんが一人で経営しているのだが、近々閉めてしまうらしい。

 なんとかしたいけど子供の俺にはどうにもできない。




「こんにちは」


 突如声をかけられて顔を上げれば、そこには麦わら帽子を被ったお姉さんが立っていた。


「おばあちゃん元気?久しぶりに戻って来たけど、ここ大好きだったんだよね」


 そう言ってはにかむお姉さん。


 彼女の麦わら帽子が、降り注ぐ日差しを浴びてカナリア色に輝いた。



 アイスが黄色い雫となって俺の手に落ちる。




 忘れられない夏が始まる予感がした——



挿絵(By みてみん) 

お読みいただきありがとうございます!


はたしてこのお姉さんが運んできたのは誰にとっての幸運なんでしょうね......

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― 新着の感想 ―
[一言] まさにこれから何かが始まる! というわくわく感がありました
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