君はいつから
序章 会
「ありがとう……いってくるね」
「うん、いってらっしゃい」
――鈴は普通の人とは違う所がある。それは『幽霊と話が出来る』ことだ……。
高校二年生の鈴は今日もいつも通り学校に登校していた。
「みんなおはよぉー」『おはよぉー!』いやぁ、ここのクラスはみんな元気だし、いい人なんだよなぁ……ん? 幽霊さんだ。
「……もしか、して、私、見える……?」
「見えるよ」
「ここは、学校……?」
「そうだよ」
「学校……」
「先生だったの?」
「……うん」
「そっかぁ」
「生徒……元気、?」
「みんな元気だよ!」
「そ、か……ありがとう、もう、いくね……」
「うん、いってっらっしゃい」
とまぁこんな感じでよく幽霊さんと話しては成仏? している。話も終わったところだし、
「今日も勉強頑張るぞー!」
「とはいったんだけどさ……」
確か……クラスの匠くん? がさ、じぃーっと見つめてくるんだよなぁ?
「どしたんだろ?」
まぁ、いっか。
―― 「よーし、四時間目終わったぁ!」
やっと昼ご飯食べれる〜って、ん?
「ねぇ、黒田 鈴さんだよね?」
「っ? そだけど、どしたの?」
「君、朝幽霊と話してたよね」
「えっ」
第一章 疑
・・・。まじ、バレてる? まぁ隠すことでもないけど……
「えっと、橋宮 匠くん、だよね?」
「うん」
「ちなみに、どしてそう思ったの?」
「死霊術師だから」
「……ほぇ? 死霊術師って、ほんとにいるの?」
「まぁ、俺がそうだけど」
「んー……実際私は霊と話してるし、それがわかるってことは、そうなんだろうなぁ……」
「……信じてくれるの?」
「まぁ、一応ね。嘘ついてるように見えないし」
――もしかしたら……
「君なら」
「ん?」
「いや、なんでもない。それよりその話してた霊って、成仏した?」
「え? んーと、成仏かは分からないけど、丁度朝『いってくるね』って言って光ってたよ」
「そか、ちなみに何人ぐらいそんな感じになってた?」
「んー……三十人ぐらいかな? 今までで」
「……結構成仏してるな」
「やっぱあれ成仏してたんだね」
「うん……君は、凄いね」
「何が?」
「敵対する霊が今までにいない事がさ」
「え、いたよ?」
「え? ……その後どしたの」
「話した」
「話した……? 基本敵対してくる霊は自我がないんだけどな……」
「そうなん?」
「うん。だからどうして話せたのかなって」
「あぁー最初に『大丈夫だよ〜』って言ってあげたら赤色から白色になったよ」
「え……てか、色で見えるの?」
「うん」
「へぇ〜、珍しいね」
「そうなの?」
「うん。だいたい見える人ってはっきり見える人とモヤみたいに見える人のどっちかなんだよね」
「そうなんだぁ……あ、けどなんか普段見えたり話したりするのは白い人形のモヤみたいな感じだから似てるかも」
「んー、難しいラインだなぁ」
「まぁ、今答えを出さなくてもいいんじゃない?」
「ん……確かにそうだね」
「てか、同じような人がいて良かったなぁ」
「……そうかな?」
「うん。だって一人だけだったらなんか怖くない?」
「まぁ……確かに」
「そうだ! 君がいいなら、今日から友達になろ!」
「え、いいの?」
「全然いいよ! てかこっちがなりたい!」
「おぉっ初めて、かも……友達」
「え? 他にいないの?」
「うん……」
「……なんかごめん」
「まぁ……それは置いといて、あともう一つ」
「ん?」
「もしよければさ、霊の成仏に手伝ってくれない?」
「ん〜……時間がある時ならいいけどその前に……」
「その前に?」
「あ……いや、なんでもない。これからよろしくね!」
「……? よろしく」
私はとある違和感を覚えていた。何故かは分からないが、人と話している感じがしなかった。まるで、実在してるけど、生きていない、みたいな……?
第二章 恋
――数日後。
「おはよぉー!」
「ん、おはよ」
「今日も空いてるけど、成仏させる予定の幽霊さんいる?」
「あー、今日はいるけど……てかほぼ毎日空いてるじゃん」
「あははっ、まぁね……てか! 今日、初仕事……ッ」
「仕事っちゃ仕事だけど……多分鈴のイメージしてる感じの仕事では無いと思うよ。 お金出ないし」
「お金は出なくても、その霊が成仏出来たら、それだけで嬉しいからね!」
「そっか……」
「どしたん?」
「いや、なんでもない。早く準備しないと授業遅れるよ」
「ん、そぉだね!」
んー……やっぱりなんかおかしいなぁ……
―― 「ふぅーやっと四時間目終わったぁ」
「そだね」
「あ! そうだ!」
「ん?」
「お昼一緒に食べない?」
「あー……最近ダイエットしてて、昼抜いてるんだ。ごめん」
「そうなんだぁ。 たっくん痩せてるけどね?」
「体重が増えてて……え」
「ん?」
「たっくん……?」
「あ、嫌だった?」
「え、あ、いや……なんかそう呼ばれたの初めてで……」
あ、口に手あてて照れてるー! かわいいなぁ……
……あれ、? なんだろう、この動悸……? てか、たっくんも落ち着いてない……
「……! とりあえずそゆことだから! また下校後なっ」
「ふぇ、う、うん」
やばぁ……これ、もしかして、たっくんのこと……。
「ふぅ……何とか下校まで耐えたぞぉ……」そう。昼休みの一件があってから下校まで、会う度にドキドキして話せないでいたのである。たっくんには申し訳ないと思っている……あ、
「たっくん……」
「ごめ、待った?」
「え、え、大丈夫」
「そか?」
やばいやばい! めっちゃ焦っちゃった! うぅ……
「さ、行こ」
「う、うん!」
ん〜! なかなかいつもみたいに話せないぃ……やっぱりたっくん、いやっ匠のこと、
「鈴?」
「……」
「すーずー?」
「ふぇ!? 何!?」
「えっ、なんでそんな驚いてるん? まぁいっか。で、いつもここら辺にいるんだけど」
「あ……そ、なんだ! あれ、けど見た感じ居ないよ?」
「あれ、そうだね……なんでだろ」
「んー……」
もしかして……学校にいた幽霊さんかな……?
「その幽霊さんって……先生?」
「いや、違うと思うけど、なんで?」
「え、あっいや、先生の幽霊さんなら、最近成仏したから」
「そうなん? けど先生じゃないと思うから違うな」
「そっかぁ……なんでいないんだろうね?」
「んー……今日は帰る?」
「そうだね……」
こんな感じで今日だけでなく、最近なかなかいつもみたいに話せないでいた。それからしばらく経った。最近は、自分の力が役に立っていることの実感と、その……
たっくんのことが、好きなことの実感が同時にきていた。そこで、私はたっくんに好きだー! と分かってもらうため猛アピールする事にした。積極的に幽霊さんを成仏させつつ、たっくんに頑張って、その……まぁ、色々アピールするのだ!
「たっくん! 今日、成仏させる予定の幽霊さんいる?」
「いるよー。……今日はなんか張り切ってるね」
「うん! たっくんの役に立ちたいからねっ!」
「へ、そうなん」
「うん!」
「……嬉しいなっ」
「ん?」
「なんでもない……いこっ」
「んー?」
成仏が終わって次の日。
「たっくんっていつも冷静でいいなぁ」
「え、そう?」
「うん! いっつも冷静に物事をかんがえたりー、ちゃんと周りを見ることが出来て、すごいと思うよ!」
「そ、そう……?」
「うん!」
「…………そかっ」
めっちゃ照れてるー! やっぱかわいいなぁ……と、こんな感じで猛アピールしていると、ある日進展があった。
「たっくんは好きな女の子いるー?」と聞いてみた。
「ぶっ……急にどした」
って吹き出し気味に言ってきたから、
「いやぁ、たっくんかっこいいからモテたりしそうだし、好きな子ぐらいいるかなぁって」って言ったら、
「えっ…………まぁ、いる、けど」
と言ってきた。……まじで!? 知りたい!!
「へ? ほんと!? だれだれ!」あ、けどっ私以外だったら……けど、知りたい!!
「…………言わねぇよ」
「教えてぇ!」
「やだよ」
「おーねーがーい!」
「…………んー」
「だめぇ?」
「……聞きたいん」
「うん! めっちゃ聞きたい!」
「そっか」
たっくんがそう言うと、指を向けた。……真っ直ぐに。
「……鈴」
第三章 告
「……言ったよ、帰ろ」
「…………ぇ、ぇっえぇぇぇぇ!?!?」
「めっちゃびっくりしてるじゃん」
私!? 待って待って両想い!? ほんと!?
「えっ!? 君はいつから……」
「君って、うーん……会う前からかな」
「会う前…………!?」
「何してんの? 遅いとおいてくよ」
「ふぇ!? うん!」私も、私も言わないと!
「たっくん!!」
「……ん?」
「私もったっくん、匠のことっ! 好きなんだ!」
「……ふぇ?」
「だから、そのっ、付き合って下さい!」
「…………ねぇ」
「はいっ!?」
「ひとつ」
「え?」
「隠してることある」
「え、」 隠してること? なんだろう……
「今からいうこと聞いても、付き合ってくれるん?」
「今からいうこと……?」
「うん。その、俺は……生きてない」
「えっ?」
「だから、俺は……ずっと君に、鈴に成仏を頼もうと思ってた」
「…………」
「やっぱり、無理だよね」
「……君はいつから、生きてなかったの」
「……え、?えっと……会う前から」
「……いよ」
「え?」
「いいよ」
「え……俺の事、成仏させてくれるん?」
「そうじゃなくて!」
「ぇ」
「さっき、『今から言うこと聞いても、付き合ってくれるん?』って言ってたじゃん!」
「え、うん」
「だーかーら! 分かる? 生きてようが生きていなかろうが! 私はたっくんが好きなの! てか何となくわかってた!」
「ふぇ……うん、」
「だから、その…………えっと、……好き……なの……わか、る………………?」
「……」
「ねぇ………………」
「…………」
「わか、る………………? ねぇ?」
「……ふふっ」
「……え!?」
「ぶふっ、あははっ、いや、ごめっ、だんだん声ちっちゃくなってくの面白くてっ」
「んもぉ! 私の頑張り返してよぉ!」
あ、けどっ笑ってるの、初めて見た……
「――っまぁ、なんか良かったなぁ……鈴がいい人で」
「え?」
え、身体っ消えて……
「ありがとな」
「え、ちょっと、」
「楽しかった」
「え」
「まぁ、鈴が好きでいてくれるなら、いいかな……」
「え、!? 成仏する訳、じゃないよね?」
「……する、のかなっ」
「え、……」
「最後に付き合えて良かった。もう悔いはないかな……多分、成仏するけど、俺の事、忘れないでね」
「匠!?」
「俺と、いて、くれてあり、が……と……」
「匠っ!!!」
「…………」
「ーーーっ!」
…………たっくん。
「忘れるわけ、ないじゃん」
終章 驚
「はぁ……」
たっくんが居なくなってから一週間が経った。寂しいなぁ。また、会えないかな……せっかく付き合えたのに。
「たっくん……元気かな……」
「………………元気だよ」
「え?」
「だから、元気だって」
「…………ふぇ!? ……………………ふぇぇぇええええ!?!?!?」
「めっちゃびっくりしてるじゃん」
「そりゃするよぉ!!! てかこのくだり前もあったような!! てかなんでいるの!? 成仏したんじゃないの!?」
「おぉ、結構質問攻め、んー……分からない」
「え!?」
「起きたら自分の家にいた」
「…………えぇ……?」
「え、めっちゃ引いてるやん」
「そりゃあひくよぉ……けど」
「けど?」
「また会えて、また会えてよがっだよぉぉぉぉ!」
「えっちょ! な、泣かないでっ、えっ、えっ」
「うぅー匠ぃ〜」
「……はぁぁ」そうため息ひとつつくと、たっくんが、好きな人の腕が、私を優しく抱きしめた。それは細いけど、強くて、優しくて、頼もしい、そんな気がした。
「ふぇ」
「ん……ねぇ、落ち、着いた……?」
「ふぇ……うん」
「鈴、一つ言いたいことあるんだけど、いい?」
「……なにぃ?」
「これからも…………好きだよ」




