リクエスト:えっちで優しい話3/3
それから、
何度海に通っても少女に会うことはなかった
家からほど近い海に、
消えていってしまった
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いつまで経っても記憶の隅から消えない少女の姿に
自分が情けなくなった頃
あの甘い香りとすれ違った
振り向いてもそこに少女の姿はなく、
大柄な男が卑下た笑みを浮かべているのが
後ろ姿から伝わった
腕に抱いているのは
少女よりよっぽど背の高い派手な女性
暴れだしそうな心臓を落ち着かせるために
短く息を吐き、
衝動のままに、
いつもの海辺に向かった
タバコに火をつけ深く吸い込めば、
口に出せなかった感情が煙とともにこぼれ落ちた
潮風はそれを、真っ暗な海へと運んでいった