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トリスとの決着

 チェーンソーをニサとサキが押さえ、その隙をアイネが攻撃を仕掛ける。

 

 この戦いアイネとサキは実力的についていけてない。

 サキは勘で避けつつ攻撃を仕掛けるが、やはり限界はありあちこちから血が流れている。

 アイネは腕からの侵食が進んだせいか、体の修復が早い。それを利用して捨て身でノコギリに斬られながら攻撃を仕掛ける。


「あのアイネがそんな戦い方するなんてねえぇ、貴女に才能なかったからそれも仕方ないけどねええぇ」

「ああ、私は才能も人を見る目もない!それが認められなかった結果がこれだ!」


「へえぇプライドだけは高いアイネが認めるなんてねえぇぇ。でも今更謙虚になったとこでえぇぇ、どうしようもないわよおぉぉ!」

 アイネの背中の腕が飛び脇腹にノコギリの刃が食い込む。

「真っ二つになりなさあぁぁぁい!」


 トリスがノコギリを引こうとするのを引かれないように必死でアイネは手で押さえる。

 ノコギリを手放し両手持ちしチェンソーを振り上げると空中から攻撃を仕掛けようとしていたサキとニサにチェーンソーが襲う。

 サキの刀を折り、槍を砕きながら空中にいたニサを斬る。

 ニサが胸元から血を散らしながら地面に落ちる。


「これで私の勝ちかしらあぁ!あははははははあぁ」


ガラッ


 瓦礫を押し退けメサイアが立ち上がる。

癒しの力で止血はしているようだが立っているのも辛そうにふらふらしている。


「メサイア!そのまま寝ておけ、お前は武器もないんだろう。逃げれるなら逃げろ!」

サキが叫ぶ。


メサイアは無言で胸元のオモチャの笛を咥える。


スピーーーーーー


かすれた音が響く。


トリスのチェンソーが震えだす。


 ガガガガガガと音がしてやがて静かになると隙間からドロッと血が流れ出しチェンソーは動きを止める。


「ディレットーレ ホイッスル、聞こえる人には聞こえる」

 そう言ってふらふら歩き出しカノンの元へ行き回復を始める。


「メサイアあぁぁぁ!はじめから斧の破片を中に入れるつもりだったのねええぇ!許さないわあぁぁ!」


怒り狂うトリスをアイネとサキが必死で押さえる。

「サキ!死ぬ気で押さえるぞ!」

「ええ、メサイアの為に時間を稼ぎましょう!」

 

 トリスは動かなくなったチェーンソーを捨てアイネに刺さったままのノコギリを取ろうとするが体の侵食がノコギリも包み始めたせいで抜けない。

「面倒くさいわねええぇ」

苛立つトリスに

「この体も役に立つな。今初めてトリスに感謝してるよ」

アイネが皮肉る。


 アイネとサキは武器を持った状態でも素手のトリスに苦戦する。

 トリスがサキの右腕を掴み折る。ゴキュ!と鈍い音がする。サキは痛みで刀落とすが声は上げず素早く左手で刀を拾う。 

 アイネはボコボコに殴られ顔面を地面に叩きつけられるが血まみれになりながらすぐ立ち上がり食らいつく。


 2人が時間を稼いでいる間にメサイアはカノンの止血を終えニサを止血する。そこで頬を膨らまして不服そうな顔をしている。


「姉妹揃って、メサイアを殺す気か、無茶苦茶言う、もう少し待って、右足治すから」

メサイアはぼやきながら自分の右足を治癒し始める。


 大きく息を吐きメサイアが羽を広げる。右目の光を輝かせる。


「任せたわ、メサイア」

メサイアの右足をニサが掴む。

「任せろ」


カノンが仰向けになり


「リング」


 リングを召喚し片手で掴むとトリスの方へ向け投げる。

「切り札はとっておくもんですね。弾けてリング」


 トリスの真上でリングが割れて飛び散る。飛び散った欠片は地上に落ちず空中に留まると無数の魔方陣を描き始める。


「フィール シルト」


 魔方陣から盾が召喚され、数十枚の盾がトリスを囲む。

 その無数の盾を蹴り3本の茶色い光と青い光が縦横無尽に走る。

 光が走る度に青い鎖が盾と地面の間に引かれてトリスを縛っていく。

「わたしを縛ったとこでえぇぇ!!」

トリスが暴れるがそれを許さないほどのスピードで鎖が巻き付く。


 地面に滑るように砂埃を上げながらメサイアが転がる。

「もう、無理、後任せた」


 青い鎖で縛られ無防備なトリスにアイネとサキが剣と刀を胸元に突き立てるが完全に刺さらない。


「浅い!何て固いんだ!」

驚く2人に

「無理よおぉ!お前らごときに私は貫けないわあぁぁ!」

トリスは血を吐きながら笑う。


「サキ、爆弾はまだあるか?」

アイネが剣を突き立てながらサキに聞く

「え、ええあります」

「今から私がトリスを侵食する。その後、爆破して砕いてくれ」

「なにを言ってるんですか」

「いや、もう私は無理だ」

そう言って見せる右手は肩の辺りから硝子のようにひび割れ砕け始めていた。

「頼むぞ!サキ。それと3人に謝っておいてくれ。生きることも、日だまりの魔女と仲良くすることも、流行を教えてもらうことも出来なくてすまないとな」


「……はい」

サキはそれだけ言うと後ろへ下がる。


 アイネの左手に力が入り侵食が剣を伝ってトリスの傷口から侵入する。

「アイネえぇぇえ!お前ぇぇぇ!こんなことおぉぉ!わたしがこんなことでえええ!!」

「一緒に付き合って下さいよ。トリスさま」

 自らの侵食も早めながらトリスを取り込んで行く。


 あれだけの激戦を繰り広げたが、最後は静かに訪れる。

 侵食は2人を侵し、黒く光る硝子の像のようになる。よく観察すると脈打つように動いている場所があるのが分かる。

 生きているのかもしれないが、生物の限界を超えたこの状態は今にも砕けそうな脆さを見せている。


 サキが爆弾であるホウセンカを投げる。

爆発が起きアイネとトリスは粉々に砕けキラキラと宙に破片が舞う。


 残された天使4人には、舞う破片が涙で余計にキラキラしているように見えた。

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