表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/108

庇護の拡大

 夜の森でミカはコルを守りながら未知の魔物と戦っていた。

ドサッ、魔物が崩れ落ちる。

「ふーーなんとか倒した。たまに出てくるこの魔物なんなんだろ」

「ミカさまーー!」

「あ、コル大丈夫?」

「はい、ミカ様のお陰でコルは大丈夫です」

「そっか良かった。じゃあ行こうか」

「うっ、やっぱり足がちょっと痛いかも」

「え!大丈夫?歩ける?おんぶしよう、背中にのって」

「いえ、そんな……」


モジモジするコルにミカは

「遠慮しなくて良いよ。困ってる時は助け会わないとね」

笑顔でそう言う。

「はうわ!ミカさまがそう仰るなら、はいコルはお世話になります」

コルはミカの背中に乗るとぎゅうぎゅう胸を押してくる。

「いや、コル?そんなに力入れて掴まらなく良いよ。落とさないから」

「ミカさまの背中暖かいです」

「あれ?聞いてる、コル?」

自分の世界に入ってるコルにミカの声は届かない。

コル的にイチャイチャしていると


「ミカ様、ミカ様で間違いないでしょうか?」

暗闇に声が響く

「そうだけど誰?」

「これは失礼致しました」

暗闇にぼやーっと2つの光る目が現れやがて1匹のフクロウが姿を現す。

「わたくし、ミミ族のラバッシュと申します。灰の魔女様の使いで参りました」

 片方の羽で胸を押さえるようにしてお辞儀をする。

「灰の魔女って葵?元気にしてるの?」

「はい、灰の魔女 葵様です。お元気にされていますよ。その魔女様からの伝言をお預かりしています。[天使の町から東へ向かへ。森の中央付近で会おう]です」


「東って今ここがどこか分からないし、方角とか言われても分からないんだけど」

「こちらを」

ラバッシュがミカの近くまで飛んできて首にかけてある袋を取るように頭を下げる。

 ミカがそれを取って袋を開けると中に方位磁石と小さく折り畳んである地図

「方位磁石?高級品じゃん。ってこれどうやって作ったの?地図も天使のやつより正確だし」

「方位磁石はドワーフ様達が、地図はシベリ族様とヒヨ族様達が協力して作られました」

「葵は何をして何を目指してるの……」

「魔女様は我々を守り、未来永劫安心と繁栄を約束して下さっているのです!」

「葵に会うのが不安になってきた」




 最初は流れで、その後はなんとなく役に立つかな?程度で始めた灰の魔女庇護の拡大。

 だんだん解釈が変わりながら大きく魔界に広がりをみせていた。

 

 そして魔界の中央までが庇護の限界と葵は思っていたが、実際は森の東側7割を灰の魔女の庇護に関係するものが住む。

その中で地域のネットワークが築き上がられ始めていた。


 これにはヒヨ族をはじめとした鳥系魔物の影響力が大きい。

 魔女の庇護に入れば安心して暮らせる、これは弱い魔物達にとっては非常に魅力的。

 しかもただ魔女の力でねじ伏せるのでは無く、元からいる強い魔物への庇護下を強制をすることは一切なく、今まで通り過ごして良いと言う器の広さをみせる灰の魔女に対し、強い者達も認めざる得ないと言う風潮が出来つつあった。

 ただ考えてなかっただけとは今さら言えず流れに身を任せようと思って今話を聞いてる私がいる。


「我々、竜人族は強い。庇護下も必要無いと言う意見もあったが灰の魔女様の庇護による、物資の調達は魅力的だ。是非庇護下に入れてほしい。我らが村にある鉱山の鉱石が出せるがどうだろうか?」


「シベリ族が海岸から中央までを担うなら中央から西は私達ルプス族に任せてくださいませんか?体格で劣る分荷の量は減りますが、その分スピードと人数はかけれます。ぜひ庇護下に」


「僕たちベンガル族、ルアーがほしいです!お魚釣りたいです!草と虫の採取得意なんで取引出来ませんか?庇護下入りたいです」


「よし!みんなを私、灰の魔女の庇護下に入ることを宣言するよ!」

 

 えーーい!後はどうにかなる。しかも誰だ、物流網にルアーを入れたのは!

チラッと舞を見る

たいして吹けない口笛を吹いている。


「葵よ何を目指しておるのじゃお主?」

メイさんに聞かれるが

「私も分からないです」

そう答えるしか無い、だって本当に分からないから。


 んーーこのままだと灰の魔女の町でも作って銅像が飾られてみたいな流れになりそうだなぁ。

私が悩んでいるとメイさんに訪ねられる。


「のう、葵この森をどうするつもりじゃ?庇護の元に弱い魔物を集めて町でも作るかの?」

「そのつもりはないです。なんと言うかそれは違う気がするんです。

 うまく言えないですけどそれぞれの場所に住んでるからその良さがあるって言うか。

 私が町を作って一ヶ所に集める方が庇護的には良いんでしょうけど、皆の良さも閉じ込めるような気がするんですよね

 今までの生活にちょっと潤いが出れば良いかなって感じです。」


「ほう、じゃあ森はそのままにしておくのじゃな」

「ですね。庇護と言っても物々交換の流通網に入れるって意味合いが強いですから」


メイさんは腕を組んで考える。

「わらわは見た目通り魔物出身の魔女じゃ。この森の生まれと言う訳じゃ。

 魔物は種族に寄るが基本、長寿で寿命の無い者もおる。でもここで生きていくには命をかけて生活をせねばならん。

 天使の町のように[生]が停滞する事は無い。それぞれが必死で生きる森なのじゃ。

 そんな森が好きじゃ。葵がこの森を保つまま生活のみに潤いをもたらすならこの森の東側だけじゃが、灰の魔女が支配する森を宣言しても良いぞ」

「えぇ、森を支配するって無理ですよ。管理出来ませんもん」

「ふむ、じゃあ魔物代表の管理者を作るのじゃ、ついでに森の名前も変えるのじゃ。灰の森とかじゃ縁起悪いからのう」

「管理者ってそんな知り合いいないし、名前変えるって」

なんか段々乗り気になっているメイさんについていけなくなっている私に


「管理者に適任なのがそこにおろう。下手くそな口笛吹いておるのが。名前はそうじゃの庇護下の魔物から募集してみてはどうかのう?」


 そこまで話した時、ぱたぱたとヤエちゃんが飛んでくる。

「葵様、ミカ様と接触に成功しました。こちらに向かって移動を始めましたので、今案内の者を向かわせています」


 因みにヤエちゃんには「魔女様」から「葵」に呼び方を変えさせた。最初は拒んでいたが、私専属だからそう呼んでって言ったら泣きながら喜んで変えてくれた。様をつけるのは譲ってくれなかったけど。


「待ち合わせ場所決めた方が良いかな。さっき庇護に入った人の中でここから1番近い人は誰ですか?もしよければ村に行きたいんですけど」

「それなら我々竜人族の村が近い、皆にも会って欲しい」

「ありがとう、お世話になります。メイさんは来ますか?」

「行くのじゃ、なんか面白そうじゃしの」

「ヤエちゃん場所が分かり次第ミカに伝えて」

「のう、ヤエとやら、明日灰の魔女から大切な発表がある、皆に集まるよう伝えよ。これん奴は後で通達するともな」

「はい、直ちに伝達開始します」


ヤエちゃんが飛んでいく

「ヤエちゃん!そこは私に確認!おーーい」

もう見えない……


「その発表、私も聞いてよろしいでしょうか?」

突然聞きなれない声に振り返る。

「ニサちゃん!?」

「初めまして、灰の魔女様、私カノン ニーベルングと申します。ニサの双子の姉です」


「えーー!?ニサちゃん!お姉さんいるって聞いてないよ!」

私はニサちゃんの方を見る。

「き、聞かれてませんから。そもそも何でお姉様がここにいるんですの」

「ニサ」

カノンが静かに名前を呼びゆっくり近づいてくる。

「お、お姉様?」

ぎゅーーと抱き締めると

「頑張っていますね。ニサ」

「う、お姉様が誉める……い、いやあり得ませんわ、うぅぅ」

「ほら泣きません」

「な、泣いてませんわ!」

「この格好で失礼します。灰の魔女様。私達の方からも伝えたいことと、お願いと提案があります」

「私達?」


 メイさんが誰かと話している

「なんじゃ、アイレか」

「あらら、メイあなたもいるんだ。フラグはたつもんね」

「なんじゃフラグとは?」

「こっちの話」


「あちら、風の魔女様、アイレ様です。そしてこちら、ソフィー テレーゼ様です」


 いつの間にかいた女性をカノンが紹介してくれる。

「ミカの 母、ソフィー テレーゼです。ミカがお世話になっています」

「灰の魔女、日向 葵です」

「まあ、あなたが灰の魔女さん。うわさで聞いていたより可愛らしいわね。ミカと仲良くしてあげてくださいね。あの子友達作るの下手だから、もう私心配で、心配で。

そう心配と言えばあの子まで来てないんですって。私達より先に出発したはずなのに、なにしているのかしら。もしかして……」

「おい、ソフィーさん喋りすぎ、娘の事になると話長くなるんだって」


風の魔女がソフィーさんを止める

「わたしが風の魔女、アイレだ。よろしく灰の魔女」

「よろしくお願いします。葵です。なんだか急に賑やかになりましたね。

とりあえず竜人族の村へ移動して話しませんか?」

森の真ん中で立ち話しても仕方ないし、状況の整理の意味でも落ち着いて話がしたいので移動を提案した。


「そうだな、日も暮れそうだし移動しよう」

アイレさんが後押ししてくれる。

「天使側も後1人足りないんだろ、魔女側もリエンとノームに連絡したから後で来ると思う。全員そろって話をしようってことで良い、葵?」

「えぇ、それで良いです。リエンさんも来るんですか!?後ノームさん?」

「ノームが来るのか、あやつが?面倒くさいのう」


リエンさんに久しぶりに会える。嬉しい。

でノームさん?なに面倒くさいって……気になる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ