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灰の魔女 ~アオイ日だまりへ~  作者: 功野 涼し
魔界の森 ~それぞれの戦い~
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カノン ニーベルング

(私、カノン ニーベルングは今電車に乗っています。人間界にいる魔物を討伐せよって命令があったので向かってます)


「そろそろお昼ですかね」

宮崎駅で買った駅弁。椎茸めしを広げる。


(うん、椎茸ですね。宮崎県の特産ですから昔からあります。干し椎茸の出汁が効いて美味しいですね)


 カノンは駅弁を食べながら窓の外を見る。


(そろそろ大分県に入りそうですね。今回は乗り換え無しでしたね。うーーん小倉から新幹線に乗る方が早いのですが、あえて博多まで行ってちょっとブラブラするのも良いかもしれませんね)


 自分の着ている服を見る。いつもの青のチェックを基本にした聖女のような格好とは違う。


(レギンスにカットソーワンピース、靴はスニーカーでしたっけ?

人間界のファッションは多種多様でこんなに可愛いんですかね。メサイアのファッションはよく分からないですけど、あの子が夢中になるのもうなずけます。天使達も見習ってほしいものです)


お弁当を食べ終わり合掌をする。お弁当殻を袋に入れる。


 「佐伯~、佐伯~」駅のアナウンスでいつのまにか大分県に入っていたことに気付く。


(まだ時間はかかりそうですね。ぼーーと外の移り変わる景色を見ながら物思いにふける、これも電車旅の醍醐味でしょうか)


物思いにふける。昔の事を思い出す。


(私、カノンとニサは双子で私が姉、ニサが妹。名前の文字数、響きが違うのは、ニーベルング領の双子が生まれたら不幸が訪れると言うどうでも良い、言い伝えのせいです。双子じゃないよ、姉妹だよってことです。

 これには訳があって天使は基本子供を欲しがりません。永遠を生きる故に繁殖力が低くくなった結果だと思われます。

 なので夫婦という形をとる家庭はほぼありません。もし子供が生まれても女の人がつれて女性同士協力して育てることが多いみたいです。


 話を戻しますが、天使は永遠を生きます。なので跡継ぎなんて本当はいりません。

 ただ死なないわけでは無いのでもしもの時に備えるか、単純に領主であることに飽きてどこかへ行きたいときに子供を作ります。

 ニーベルング領はかなり古い歴史があり今のファイエルン共和国より前からあります。

 その領で定期的に子供を作る口実として1000年に一度生まれる子供はニーベルング領に幸福を招くと言う言い伝えが出来ました。 


 で、私達双子が生まれたので1000年は良いとして、次の1000年の幸福分の子供が生まれてしまった、じゃあ不幸が訪れると言う、まあよく分からないものです。

でも昔からの人は信じてしまうんですよね。

私はどうでも良かったんですが、ニサはかなり気にして髪型や口調まで変えてしまいました。

 前の「おねえーちゃーん」が聞けなくなってどれだけ悲しんだことでしょう。まあ、今の「ですわ」も無理してる感じが可愛いんですけど。たまに地が出てますし。


 そんな実家で私を跡継ぎにしてニサを捨てるとか言い出すので、「誰がこんな領、継ぐかバーーカ」ってニサを連れて出ていったのです。

 自由を手に入れニサときゃきゃしながら過ごそうと思ったら、ニサが軍に入るって言い出し、心配なんで一緒に入って同じ部隊まで入ったのにあんまり話してくれなくなったんですよね。

 私が後を継がずに出たことに負い目を感じてるんでしょうけど、私は何も思って無いんですけどね)


 「行橋~行橋~」


(あら、結構な時間が経ってしまいました。小倉までもう少しですね。博多には帰りに行きましょう。任務をすぐ終わらせば文句も言われないでしょう)


この後新幹線に乗り換え目的地につく。


(確かこの辺りにが魔物が確認された場所だったはずです)


球場や陸上競技場などを備えた大きなスポーツ公園。

ドックン!!

場の雰囲気が変わる。


「結界ですか」


(これでは、今回の任務は初めから罠ですってバラしているのと同じだと思うんですけど、気付いていないフリして帰りましょう)


 カノンは歩いて車の前に立つと「シュラーク」盾を召喚する。

それを右手に持ちグッと腰を落とすと下からアッパーのように盾で車を殴る。

ズドン! ガッシャーン!!

カノンの攻撃で車は一瞬浮いて横転する。

「はあ、なるほど」


(この結界の主は内部の物を現実世界の強度に合わせてますね。普通、結界は強ければ強いほど内部の物にも傷つけること出来ませんから。

恐らく緻密なコントロールで強度を合わせている。その理由はここが実験場だから……てとこですかね)


ザッ ザッ

カノンの元に3体の魔物が現れる。


(前に報告書で見たミノタウロス型とちょっと違いますね。羽も生えてますからアークデーモン型と言ったところでしょう)


 アークデーモンの一体が大きな腕に持った斧を振り回しカノンに攻撃を仕掛けるが空を切る。


「ウイング」静かに声が響く


 アークデーモンの2本の角を握り逆立ちの状態のカノンが羽を展開する。

そのままぐるんっと横回転してアークデーモンの頭をねじり首を折る。

ゴキュ!!鈍い音と共にアークデーモンは赤い泡を吐きながら倒れる。

 着地するとそのままもう1体の元へ走りアークデーモンの体を階段のように駆け上がり空中に浮くと拳を大きく振りかぶり「シュラーク」盾を召喚し顔面に振り下ろす。

 盾で殴られたまま倒れ頭を盾と地面に挟まれ潰される。

「ガルディエーヌ」そう呟き、もう1体の背後からの攻撃を空中へ飛んで避ける。

 そのまま空中で一回転して斧を振ったアークデーモンの腕にふんわりと着地する。

「上です」

そう言って人差し指を上に向けると同時に大きな盾が空から落ちてきてアークデーモンの頭に刺さる。そのまま崩れ落ち地面で盾が頭部を完全に潰す。


「ふーー」

大きく息を羽を広げてゆっくり着地する。

(魔方陣の召喚位置は体から100m離すのが限界ですね。それ以上は出現位置が安定しませんか)


ズル、ズル、ズル……


 引きずるような音、「……ぃ……た……」何かぼそぼそ声?が聞こえる。

 やがて表れる天使だと思われる人。瞳孔は開き焦点は合っていない。左目は本人の目ではない、何かの魔物の目。背中には無理やり引っ付けたようなコウモリのような羽。右足は膝から下に獣の足がつけられている。

 左手は肘から先が黒く、全体が波打っている。


「申し訳ありません、名前は覚えていませんが、貴女は翼の騎士団の方ですか?以前お見掛けしたことがあります」


(反応ありませんね。心はもう無いのでしょう。それにしても悪趣味ですね)


ウグワァ!

そんな唸り声と同時に左手を振ると左手は伸びて鞭のようにしなりながら離れているカノンを攻撃する。

「エレオス」右手に小振りな盾を召喚し攻撃を弾くと、スッと右手を振り下ろす。

ドサッ、伸びた左手が落ちる。

 拳に握られた盾の先に鋭利な刃が出ている。


「ガッ……ぃた……グ……ャだ」

無くなった左腕を押さえながら暴れる天使のような者。

 カノンは歩いて近づいていく。天使のような者は暴れながらも右手で掴みかかるように攻撃してくる。カノンは右手を振り上げ相手の右手を斬り飛ばすと、そのまま首を胴体から切り離す。

「これで楽になれると良いんですけど……」


(多分これで終わりでしょうか。最後に出てきたのは、実践にはまだ使えそうにないとこを考えると、技術の御披露目みたいなものでしょうか?

とりあえず、帰りましょう)


 カノンは結界の壁を盾で殴って壊す。

一旦立ち止まり上の方を見てニッコリ微笑みながら、右手で自分を仰ぐような仕草をして帰っていく。



「なーーー!あいつ私をバカにしたな!まだまだってことか。腹立つわーー。

 しかも私の場所も気付いてるし、あれの強さは間違いなくアリエルさん達側にいってるね。

よし!切り替えて行こう。もっと凄いの作ろうっと!」

 光の魔女は大きく伸びをするとその場を去る

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