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灰の魔女 ~アオイ日だまりへ~  作者: 功野 涼し
魔界の森 ~それぞれの戦い~
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森の住人

 メサイアから逃げ、舞が目を覚ますのを待って移動を開始。3日が過ぎる。

 舞の体調を気遣い移動距離こそ稼げてなかったが、メサイアの追跡を免れたのは確信できた。


「舞、起きれますの?」

「いたたた、なんとかな」

「何か食べます?」

「あ、ああ食べる」

 

 何度かニサ達を襲ってきた魔物を倒してはさばき、川や湖で魚を釣ったりしてるうちに食料は充実。おまけにニサのサバイバル能力が開花し始め、肉や魚のさばき方が上手くなり、簡単な寝床を作り舞を寝かせたりしている。


「なあ、ニサなんかたくましくなったな」

「サバイバル生活が上手くなってどうしますの。早くベットで寝たいですわ」

うんざり顔のニサが言う。


ガサッ 草が揺れる音

 その音にニサが反応して空中に飛び上がり、召喚した槍を構え草を揺らした者をとらえる。

「観念して今晩の夕食になりなさい!」

ビシッと槍を構えるニサに対し

「すまねえ、すまねえ、食べないでくれ~」

命乞いする獲物

「あら?ドワーフ?」

「ごめんなさい、食料……魔物と思ってつい……て何かようかしら!」

槍を再び突き出す。


「ひぃぃ、ただ声がするから見ただけだ、本当だ、信じてくれ~」

拝みながら懇願するドワーフを見てニサは槍を下げる

「お願いがありますわ。わたくしの仲間が怪我をしてますの。貴方の住む場所に案内してもらえないかしら?」

「そ、村長に聞いてみる」

ニサは舞を連れてドワーフに案内される。


「こんなところに村があるなんて驚きですわ」

「こっ、こっちだ」

ドワーフに案内され他の家より一回り大きな家に案内される。

そこには髭の長いドワーフがいた。


「わたくしの名はニサ ニーベルングですわ。こちらは黒田 舞。村長様にお願いがあって来ましたわ」

「ふん、天使は嫌いだ。帰れ」

とりつく島もない態度にニサも必死になる。

「ちょっと話を聞いてもらえないかしら。わたくしの友人が怪我してますの。ちょっと休まして欲しいだけですの!」

「友人?」

ドワーフの村長は舞を見る

「この魔物が天使の友人なのか?なんで?」

「友人になんではありませんわ!天使のわたくしが邪魔なら出ていきますわ!だから舞だけでも手当てをお願いしますわ!」

「……」


 村長はニサと舞を何度か見た後

「おい、こいつらに寝床用意してやれ。魔物の姉ちゃんの方には医者を呼べ」

「あっ、ありがとうございますわ!感謝します!」 

「ふん、変わった天使だな。まあ良い。後で食い物準備してやる。魔物の姉ちゃん連れて行け」

「ああ、ありがとう」

舞とニサは頭を下げて家を後にする。


「村長、よく許したっすね?」

「あそこまで本気の目で言われたら仕方ねえだろ。天使と魔物が友人とか訳有りだろうしな」

「いやそんなの村に置いて良いんすか?絶対危険じゃないっすか?」

「悪い奴じゃ無さそうなのが追われてる、なら追ってる方が悪い奴だ!どっちの味方するかって事だ!」

「なんか無茶苦茶っすね」 

「うるせー」

村長に質問したドワーフは頭を叩かれる。


ーードワーフの村に来て2週間


「かなり、動けるようになったぜ!」

シャドウボクシングを始める舞

「あんまり調子にのると傷が開きますわよ」

「大丈夫、ちょっと散歩に行ってくる」

「気をつけて行ってらっしゃいな」


散歩に出る舞を見送った後

「さて、わたくしも行こうかしら」

ニサは村長の工房へと向かう。


 この村の家はシンプルながらもしっかり作られており、ドワーフ達の農具などをはじめとした道具も一級品に近い。

 これらは村長をはじめとした生産者の腕によるものだと分かったニサは、連日槍の製作と修復をお願いしに行っていた。


「村長様、今日もお願いに参りましたわ」

「またお前か。作らんぞ!基本的に武器は作らない主義でな」

「せめてこの槍を修復して欲しいのですわ」

「それもやらん。それに引っ付けたとこで強度が落ちる。武器としては使えんだろう」

「……また来ますわ。それとお世話になっているお代にはならないでしょうけどこちらを置いていきますわ」


 そう言って魚と獣の肉を置く。

「ああ、すまんな。正直助かってる」

 村長がお礼を言ったのでニサは会釈をして部屋へと戻ろうすると、村長が思い出したように、戻るニサの背中に話しかける。


「ちょっと聞きたいことがある。肉はお前さんが槍で仕留めてるんだろ?魚はどうしてる?見たとこ槍で突いた跡もないし、さばいたときに餌も出てこないどうやって取ってる?」

「あぁ、それでしたらこれですわ」

そう言って魔方陣から舞のルアーセットを取り出して見せる。

「これは!?」

村長がルアーに釘付けになる。

「なんだこれは?魚の形して針が付いてるが、これで釣るのか?」

「えっと確かここに、こんなのも有りますわよ」

ワームと呼ばれる塩化ビニールなんかで作られている物も見せる

「こいつは、ミミズみたいだな。どうやって使う?何で出来てる?」

興奮してかじりつくように見る村長に周りも集まってきて品評会が始まる。


「なあ、こいつをくれないか?作ってみたい!」

「えぇ、一応舞のですから聞いてみますわ」

「おお、頼む。お代はそうだな嬢ちゃんの槍の修理と新しい槍を作ってやるでどうだ!」

「わかりましたわ!」

 さっきまで武器を作らない主義とか言ってた気がするけど、気が変わらないうちに舞を見つけルアーをドワーフに渡す約束を取り付ける。

 

 更に舞の熱いルアー講座により

気を良くしたドワーフ達に魔法を発現出来る槍を作る為の鉱石と雷鳥について聞き、ニサと舞いは鉱山に向かうことになった。


 このルアーが後に魔界に広まり、ルアーフィッシングが流行るとはこの時誰も想像していなかった



   ーーーミカの軟禁生活②ーーー


 投獄されてから体が鈍らないように筋トレをする。

「145、146、147」

腕立て伏せ、フォームを崩さないようにするの難しいんだよなとか思っていると、不意に声をかけられる。

「ミカ様、何を目指してるのです?」

「あ、カノンか。ここさ魔方陣呼び出し禁止じゃん。体が鈍りそうでとりあえず筋トレをしようと思ってね」

「投獄される前より血色も良くなって体も鍛えてたくましくなるなんて、ミカ様凄いですね」

「誉めてる?」

「誉めてます」

ニコニコしながらカノンは圧をかけてくる。

多分誉めてない……


「そうそう、一つ朗報が、メサイアがニサと魔物を発見したそうです。ただ逃げられたみたいで次はサキ様も討伐に加わるそうです」

「本当か!ニサと舞生きてたか……良かった……」

涙を浮かべるミカに

「えぇ、良かったです」

そう言うカノンもうっすら涙を浮かべていた。

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