天使の輪の力
あれ?天使の輪ってビームじゃないの?
てっきり「ニサ光線ですわ!」って感じでくると思ったのに。
ミカにちゃんと聞いておけば良かったと、後の祭りを頭の中で開催してると
「モルビド」
槍を振り下ろしてくる。
なぜか片手で
違和感にイグニスを盾に変え構える。
元々しなやかな槍は、しなやかと言うレベルを越えてムチのようにしなる。
バシッ!
地面を叩く。ただムチと違うのは先が穂になっているので殺傷能力が高い。
ニサは新体操のリボンのようにモルビドを使い攻撃を仕掛けてくる。
軌道が読みにくい!ムチのようにしなる槍を必死で避けるが経験の無い軌道に戸惑い私は少しずつ切り傷が増えていく。
そしてもう1つ、今分かったのがイグニスは私が見たり、経験したことの無いものに対しては反応が悪くなると言うこと。
「グラーツイア」
そんな私にニサは攻撃を緩めない
他の槍より長いその槍を私には届かないであろう距離で突くと
伸びてる!?
槍の本体が伸びて私を貫きにくる!
あわてて盾のイグニスを槍の穂先に向かわせるがカスッただけで受けれない。
その穂先は私の右太ももを深く切り裂く。
ザクッ!!
「あっつ!?」
太ももが熱い。右の太ももを確認しようとニサから視線をそらしてしまった瞬間
「!?」
左肩に激痛が走る。
「あぐっっ!」
ムチ状になったモルビドの穂先が肩から胸に向けてザックリ切り裂いた後だった。
痛い!泣きたい!けどそうしたら死ぬ。ニサを睨み付け必死で踏ん張る。
「イグニス、爆!」
ひとまず爆発で距離を取ろうとするが
「ウンディ」「クリュスタッロス」
水の滴る槍を振る。
空気が凍る。イグニスの爆発で起きた火の粉も凍ってしまう。
「灰の魔女さん、貴女強いですのに経験が少なすぎて全くなってないですわ。もったいないですわね」
「まあ、そのポテンシャルを生かせるようになっても困るのですけども」
そう言いながらにウンディを構える。
どうする!何かないか?必死で考える。
肩の傷は血が止まりかけ始めている。
おそらくイグニスが宿主である私を生かすために私自信の治癒力を高め治している。
太もものと胸の血が止まらない。こっちの方が深いのでイグニスの治療が間に合っていないのか……
色々なことを思い出す。人は死ぬ間際走馬灯を見るって聞いた事があるけど…………
…………やる……だから!!
「イグニス、お願いがあるの。聞いて」
(なんでしょう?ご主人さま)