意志疎通
怪我は恐ろしく早く治った。マイのアパートに2日泊まって後は私のマンションで2日、計4日で全快だ。
お腹の傷後は残ったけど我ながら化け物染みた回復力だと思う。
それから1週間後には訓練再開。時々舞も加わってる。相変わらず召喚は見せてくれない、と言うかミカが止める。
もっと強くなったら見せてくれるらしい。楽しみにしておこうっと。
腕の文字は増えたと言うよりは、単語を表すみたいに文字がセットになり文章を思わせる並びに変わった。
文字は、クッキリとした黒色になりその存在を主張している。
温泉とか行けないなこれ……。
今、私はろうそくの火を前に静かに息を吐き呼吸を整え集中する。
正直どうするのが正解か分からないが、舞が言うには体の内側に話しかけるか、火そのものに話しかければ良いらしい。
そう言う訳で、ろうそくの火に向かってぶつぶつ話しかける危ない人になっている。
「なんか出てこい~、でろ~でろ~」
時々頭にうねうねした寄生虫らしきものが過るが必死で打ち消す。
「こう火を丸くしたり、ぐるぐる回すのは上手くなったんだけどなぁ」
「なんか他に出来ないかなあ~」
ぼーとしながら考えてみる。
「あっ、手に乗せれるかな?手乗り火の玉とかいけそう」
思い付いたら即実行に移す私の長所です。
ろうそくの火を指先でチョンと触れてみる。熱くない、そのまま右手の人差し指にすくうように乗せてみる。
「乗った!」
今度は左手の手のひらにその火を乗せてみる
「おぉ!乗った、やばい、すごい!」
なんか可愛い!
小さな火はろうそくから離されて勢いを弱めていく。
「あぁ~消えないで!」
私は必死に火に念を送る。すると火は少し勢いを取り戻し燃え続ける。
「なにこれ、ホント可愛いんだけど!」
その小さな火を右手の人差し指でツンツン突っつきながら
「可愛いいなあ~名前つけようか、おい!なんか喋ろ!」
火を撫でてみる
(くっ、くすぐったいです)
「?」
(ご主人さま、あまり突っつかないでください。くすぐったいです)
「??」
(ご主人さま、手のひらです。ぼくです)
ゆっくり左手のひらを見るとさっきと同じ火が燃え続けている。
(ようやくお話出来ました、ご主人さま!)
火が喋ってる?のに合わせて火の勢いに強弱がつく。
「えっと……喋ってる?」
(はい、でもご主人さまにしか聞こえないと思います)
これは成功なのか?火と会話出来てるし……
やばい……めちゃくちゃ可愛い!!
(ごっ、ご主人さま?)
手のひらでおろおろする火。
そして私はテンションMAXだ!!