訓練へ
コメドコーヒーの帰り道。
「あんな説明で本当に良かったの?」
「ん?可愛いミカが見れたから良いよ」
「可愛くないって!」
全力で否定するミカが可愛いとか思いながら
「この火の魔女の力って、レベルアップとか出来るの?」
と聞いてみる。
「レベルアップ?それは鍛えれば強くなるだろうけど」
「鍛える?犬ゾンビ3匹倒したら、てってれーて感じじゃないの?」
「?人間だって筋トレすれば筋肉付くし、走り込めば体力ついて、素振りとかすれば剣裁きが上達する。逆に使わなければ衰えるものじゃん?」
「あぁ、その辺は現実的……」
ちょっとゲーマーでもある私は落ち込む。
「でも今の時点で体力もスピードも上がって、多分頑丈になってるし傷の治りも早いよね?十分に魔女の恩恵受けてると思うけど」
確かに言われてみれば壁に激突したけど骨とか折れてないし傷もほぼ塞がっている。
「この間みたいに襲われる可能性は高い。そのとき身を守れるように、実践形式で体の使い方を覚える為にもアオイ訓練しよう!」
なんか話してるうちに熱く語りだしたミカに
「えーーこの火でファイヤーってやりたい」
地味な努力を避けよとする私。
「魔女の事が分からないのに火の力を強めるのは危険だよ。魂が乗っ取られる可能性だってあるし」
そんこと言われたら何も言えない。
「でもこの火、なんか優しい感じがするんだけどなあ」
そう右手を見つめる私に
「訓練すれば火の方も強くなるかも知れないし、少なくとも体は鍛えられるから無駄にはならないよ」
そう言うミカに
「ムーー本当に?……分かったよ」
としぶしぶうなずく。
「じゃあ今度の土曜日、剣持ってスタボに集合で!」
「うんスタボに剣持って……」
「って!?持ってないよそんなの!」
慌て否定する。
「じゃあ貸してあげるから詳しい時間は明日決めようよ」
笑顔で手を振るミカに私も手を振って別れる。
このときミカが
「気軽に剣の貸し借りができる友達って良いな」
とか思いながら天使の微笑みをしていることを私が知ることはなかった。