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天使と魔物

「立てた事は誉めてやろう。だが何が出来る」


アリエルが血の滴る剣を構える。


「何かやってみるさ!リング」


ミカはリングを上に投げ大きくなった輪に自分を通す。

「全部は調整が難しい、一部なら」


剣をミカの前に構え横向きに刃先をなぞる。

「ツァオバークンスト」


そのままアリエルに斬りかかる。


「その体で今更……」


ミカの剣を避けようとして体を反らしたが、鎧に火花が散る。


「見えない剣!?」

「まあそんな感じ。じゃあいくよ!」


ミカの見えない剣が振られる。


剣の長さを予測して避けようとしたアリエルは左肩に衝撃を受ける。



「なに、剣の種類が違うだと……」


ミカの突進からの攻撃、下から突き上げるような構え。


切り上げと予想し後ろに下がりながら構え剣があるであろう箇所で受け止める。


空いている右手の剣を振るおうとするが、手が振れず止まる。


「な!盾があるのか!?」


右腕を上げ無防備な脇を、恐らく大きな剣と思われるものがぶつかり横に飛ばされる。


「今、驚いた?アリエルが驚くとこ初めてみた」

ちょっと嬉しそうなミカに対し、アリエルは表情こそ変えないが苛立ちのような雰囲気を感じさせる。


「武器が見えないだけでこうも面倒とは、しかも種類が分からないか……」


 構え的に両手に剣を持っていると思われるミカの攻撃を受ける。左手の剣を上に投げるような動作をして右手の剣でアリエルの顔面を突く。


 位置を予想して避けるが予想より間合いに到達が速い突きに頬から血が飛ぶ。


「槍!?」


左手で投げていたものを受け止め振り下ろす。


アリエルが攻撃を受ける為に構えるが衝撃は来ず、いつの間にかミカは低い体制で構えている。


1回転し剣と思われるものを振られる。


アリエルがなんとか受け止める。


「これでもダメと、見えてないだけじゃ難しいか、でもね……」


 アリエルの鎧の隙間から血がにじみ出る。やがて鎧を伝って下に垂れ始める。

 ミカの透明の武器による猛攻を受けながらも反撃をするアリエルはその血の存在に気付いていない。



「あぁ、起きてるって。右肩が焼けちまう。この時を待ってたんだ。やっと繋がったぜ」


地面に転がる舞がうつ伏せのままボソボソと呟く。


震える手で自分の血溜まりに触れる。その血はアリエルまで繋がっている。


「頼んだ、ミカ」



アリエルの鎧の隙間から血が吹き出す。

「な、なにが……なぜ私の体が切られる」

片膝をつく。


ミカが剣を持つ構えで近づく。


「マイの代わりに言ってあげるよ。魔物なめんなよ!」


ミカが剣を振り上げる姿勢で走って向かって来る。

アリエルが受け止めようと構える。


ミカは直前でステップを踏んで軽く飛ぶと、アリエルは喉元と額から血を吹き出し倒れる。



(矢か?弓を引いたのか?意識が遠のく…………あぁ私は負けたのか)



「マイ!大丈夫?今治すから」


治癒魔法を必死にかけるミカが見える。


(天使と魔物があそこまで信頼し合うとは。あの者達なら道を誤らないかもな)


空を見る


(トリスも逝ったか。嫌な仕事を押し付けて苦労をかけたな)


光が薄れ行く瞳に炎と光が激しくぶつかる姿が映る。

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