家族
マイが斬られる、刺される。血が散る。
床に転がっているミカは自身に治癒を施しながら焦っていた。
(動け私の体。ちょっと斬られて、刺されただけなのに。
マイはあれだけの怪我を負って動いているじゃないか)
上半身を起こそうとする。お腹の辺りにドロッと血が流れる感じがして意識が遠退く。
ーーー
「なあ、ミカこれからどうするか?お前だけでも天使の方へ帰してやりたいんだが」
「えーーやだよ。マイと一緒で良いよ」
「いや不便だろうこの生活」
「楽しいから良いよ。マイと一緒なら」
「はいはい、分かったよ」
「前にさマイが話してくれた事。本当なら私は死んでたってこと?」
「あぁ同じ天使によってやられたんだだと思う。ミカの家族もな」
「……」
「憎いか?」
「う、うん。憎いよ。お母様やレイチェルや皆を殺した奴が。
でも今はマイがいる。感情に流されてマイを失う方が今は怖い。だから私は復讐なんてしないよ」
「そうか……あたしはミカをこんな目に合わせた奴が憎い!
ミカの方が大人だな。復讐なんかやめような。もっと失う方が怖いもんな」
マイに撫でられる頭が気持ちいい。
葵との会話を思い出す。
「ありがとうミカ。今の私があるのはミカのお陰だよ」
「な、いや恥ずかしい。私もマイとかに助けられたから、えっとそう見よう見まね、真似しただけだよ」
「例え真似でも同じことを他の人に出来るのは凄い思うよ。
私もミカみたいになれたら良いな」
「ほ、誉めすぎだって。だからマイの真似だって」
「ミカは舞のこと本当に好きだよね。親友超えて家族みたい。良いなそう言うの」
そうとても大切で大好きだ。マイがいなければ私は生きていけてない。
森の中で一緒に生活して、病気になった私をお義母様に頼み込んで治療をお願いして、葵を助けて、ニサを庇って、メサイアを気にかけて、終いには森を管理するとかどこまでお人好しなんだろう。
そんなマイを私が今助けなくてどうする!立たなきゃ!
立つだけではダメだ。アリエルを倒さなきゃ。
何かないか。私はなにが出来る。
再び葵の声が聞こえる。
「リングってさ、みんな能力違うんだね。てっきりリングはビームが出る武器だと思ってた。
ミカのは色が変えれるんだっけ?今の姿は元の色なんだよね?」
「そうなんだけど、髪と目の色を変える位しか使えないんだよね。実践向きじゃないんだ」
「それって背景の色に合わせたらカメレオンみたいに姿隠せるんじゃない?
そーと近寄って後ろからドーーンっていけるよ」
ーーー
「葵ナイス、それでいこう」
まだ傷口が開いている体を無理矢理起こし舞を襲うアリエルの剣を弾く。