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こんな結果は聞いてないっ!


ルイス王子へのお仕置きから二日。


レイアの周りには、ご令嬢たちがわんさか群がって人だかりが出来ていた。

それも、裕福な商人の娘どころではなく、国の重鎮の娘という、間違いなく国内でもトップクラスの身分の人までもがわんさかと。

その外側には男子たちまでもがたくさん取り巻いていた。


どうしてこうなった・・・。









 今朝のことであった。


 一国の王子をぶっ飛ばしたあとだし、さすがに追放とかされるだろうから逃亡準備しとこ~っと思っていた。

 本来は学園があったのだが、追放ならいく意味ないからいっかっ!と行く気(ゼロ)だったのだが、なぜかいつも顔が赤いメイドたちに見つかり、失敗。

重い足取りでルーテア学園に向かった。


 いくら王子に口止めしても、部屋と本人((おも)に心)があんなにボロボロじゃあバレるだろうし、王子暗殺とみられても仕方のない行動

  ・・・・らしい。メイドに話したらそう言われた。


 貴族も多く、情報が早いここの生徒は先日の王子襲撃事件は、私がやったと分かっているだろう。



(もしかしてこれって、体育館裏来いって言われるやつじゃん。こっわぁ~。まぁ、そんなの来たら全員ぶっ飛ばすから全然問題ないんだけど。)



 サラッと全員ぶっ飛ばすなどと、問題発言しているレイア。きっと他の者が聞いていたらドン引きされるだろう。


 だが間違っても「駄目だよっ!」とツッコめる勇者(バカ)はいない・・・というか、命が惜しければツッコんではいけない。



   

       ツッコミ、ダメ、絶対。




 レイアが「ぶっ飛ばす」といったら本当に文字通りの惨事を引き起こすに決まっている。



 (ん?そもそもこの世界に体育館がある?てか、貴族の子息令嬢が体育なんてやるの??)



 脳内で縦巻きロールのツインテで、オホホホホ・・・と笑っていそうなお嬢様に体育着を着せ、ちょこんと体育座りをさせてみる。



 (・・・・うん。絶対ないな。)



 想像とはいえ、似合わなさぐあいが半端なかったので、即やめた。



 (でも、お約束の体育館裏じゃないのならなにがある・・・あっ!闇討ちとかっっ!)



 などと考えていると、前方に見えてきた学園の門から女子たちがレディにあるまじき全力ダッシュでレイア一直線に走ってきた。


 (校門にもいれてもらえないなんてヤバいな、いきなりリンチか・・・)


だが現実はこう考えていたレイアの想像を遙か上をいくものだった。












 「「「「「「レイアお姉様ぁっっっ!!!!どうか私わたくしを妹にしてください!!!!!」」」」」」

























































 


(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はっ?)






















 ちょっと待て現状が理解できない。なんだコレは、疲れがたまってきこえた幻聴か?

うんそうだ、そうに違いない。


 そう決めつけ、スタスタと歩き始めたレイアの耳には「待ってくださいお姉様!」とか、「お姉様どうか妹に!」とかいう声は一切聞こえない。そう、聞こえないのだ!!(←――認めたくない)



 そしてなんとか逃げ切ったと思い、教室へ入ったレイアは絶句した――――――――。



  ・・・・・・で、今の状態に至る。レイア中心に人だかりができていて、動こうにも動けない。まるで芸能人でもいるみたいだ。



 「ねぇ、私がその・・・やらかしたことは知ってる・・・よね・・・?」



 「は、はいっ。お姉様の伝説はきちんと耳にしております!」



 近くにいる子に聞いてみたが、意味がわからない。伝説って・・・



 「金と権力に目がない、がめつい学園長の成敗に続き、何か分からないけどムカつく男NO,1のルイス王子の裏を暴いて懲らしめるなんて・・・こんな伝説物語、神話にもありませんわっ!」



 なんか凄いことになってる・・・。学園長の裏とか知らなかったし、いいように解釈されているようでまぁ、よかった。


 ちなみに、この二つの事件で、素手でいろいろと破壊したのは私の力ではない。


 身体強化の魔法を使ったのだが、女神の魔力は質がほかと違うのか、あり得ないほどの効果が出てしまっただけだ。



 それにしてもルイス王子、『何か分からないけどムカつく男』はちょっと可哀想だろ・・・。



 でもこれで、彼女たちのアイドルがいるような反応の理由がわかった。彼女らのなかでは、救世主のような状態なのだろう。



 「レ、レイアお姉様。あ、あの・・・。」



 また別の子が話しかけてきた。お姉様と呼ばれるのは大変不本意だが、可愛い女子のお願いなのでちゃんと聞く。

 茶色い髪に、黄色い目を持つ穏やかで優しそうな子だった。確か名前は・・・・フィズちゃん・・・だっけ?



 「えっと、フィズ・・・ちゃん?なに、どうしたの?」



 「ああああああのっっ!どうかっ!どうかこの学園のミスターコンテストに出場してくださいませんか!!!」



 「っ?!!」



おとなしそうな顔してとんでもないことぶっ込んで来やがったっ!しかもなぜにミスター!?

 ミスじゃないの!!??


 私、女だよ?私の性別間違ってない??

 ちょっと周りの女子たち!!!

なんで、『きゃぁぁぁぁぁぁっっっ!!!』とか黄色い悲鳴を上げてるの?何で空気が真っピンクなの??

 なんで、なんでそんなに超乗り気なの!?



(なんで?どうして??嫌われてる?私本当はやっぱり嫌われてるのぉぉ!!!???)



 心の中で一人、悲壮な声が響き渡った・・・。



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