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そうだ!破壊しよう!!

 

 * * * * *


 そして、今日は入学試験日前日。


 魔力測定とかの実技はやらなくても分かっているのでパスできるのだそうだ。

 だが、問題は筆記試験。こちらと地球の差はどれくらいあるのかがわからないため、とても不安なのである。こっちのが遅れているのか、それとも進んでいるのか・・・・


 王子に学園の学力度を聞いたところ、貴族や王族が通うところのため皆かなり高レベルの教養を身につけているらしい。学力のほうも、家庭教師を雇っているのだとか・・・。

 他の者なら不安がさらに膨らむところだろうが、麗愛・・・いや、レイアは違った。


(ふっふっふ。望むところよっ。)


彼女は、周りと常に競争している進学校にいたため、競争心が強かっ・・・否、負けず嫌いなだけであった。


(全国に通用するほどのこのレイア様の頭の良さを思い知るがいいわっ)


そして、レイアの入学試験に向けての猛勉強が始まったのであった。



 (・・・・なにこれ。変な式。方程式みたいだけど、こんなに簡単でいいのかしら。もしや、こっちの文明はかなり遅れている・・・?)


レイアが解いているのは数学に似ているがそうではなく、魔陣学というものだった。魔方陣の成り立ちや、意味・効果についてを説明するはずなのだが・・・


 (えっと,(エックス)の二乗だから・・・)


・・・普通に解いていた。

 無理もない。式を見たら解きたくなってしまうのがレイアだ。



 ***



その後の採点では・・・・


「こ、これは・・・っ!」


「この魔方陣が完璧に解かれているっ。」


 学者たちが入学者の採点をしているはずだが、なにやら審議に揺れていた。


 恐らく・・否、間違いなくレイアの答案が原因だろう。

 本人は気がついていなかったが、レイアがスラスラ解いて、終わりは寝ていたほど余裕だった問題は全部で五十問ほどだが、ほかの生徒はギリギリまで頭をかきむしって解いても二十問いくかどうかというほどの難しさだった。歴代の天才でも、三十五問が限界だったという。

 それをレイアはものの十数分で解いたのだ。しかも、解いた者がいないとされる最後の魔方陣式まで。


「「「「「ほしい・・・・・・・」」」」」


 そんな人材研究オタクの学者たちからすればレイアという()()()()が欲しいのは至極当然のことであった。


「では、このものを首席・特待Sランクでよろしいですかな?」


「「「「異論なしっっ。」」」」


 レイアが学園内で有名になることはそう遠くないことであった・・・。



 ** **



 ―――――そして、試験結果発表の日。

 結果は高校の合否結果のように学園の門に張り出されて、そこに人だかりができていた。


「レイア・クロセっと・・・あった!」


なぜか、一人だけ上質な紙に名前が書かれていた。そこが少し気になったが・・・


(ま、いっか。)


 マイペースであった。


 **


「レイア様っどうかお友達になってくれませんこと?」


「いえ、それなら是非わたくしと。お抱えの腕のいい宝石商を雇っているわたくしが、レイア様にお似合いになるアクセサリーを贈って差し上げますわっ」


 登校日初日なのに、生徒に囲まれるレイア。

その後も続くレイア様レイア様の声を無視して一人逃げる。


(どうしてこうなった・・・・)


 原因は、入学式の時。


「・・・~皆さん。どうかそこのレイア・クロセさんを手本にしてください。彼女は、我が学園の筆記試験を驚異の満点で合格した人物です。そう、この国始まって以来の天才なのですっ!」


 ・・・などという発言を学園長を務める国の宰相が挨拶の最後に言い始めたからだ。

 そのせいで、生徒だけではなく先生である教授までもがレイアのことを様つきで呼ぶようになってしまったのだ。


 思い出したら、また腹が立ってきた。


「クソッッッッ。後で覚えてろっ」


 ・・・怒りのメーターはゼロを通り越してメーターをぶち壊していた。


 そして、その日レイアは学園長室にを目指してズンズンとつき進んでいた。

 勿論、目的は宰相だ。彼があんなことを言わなければ、レイアの穏やかな学園生活が邪魔されることはなかったからだ。


 ・・・宰相が無事であることを祈ろう。


「一体どういうことなのか、ご説明願いますっ!」


 レイアは学園長席の机にバンッと手をつき抗議する。


「い、いやレイアさんが余りにも素晴らしい成績で、これを知った生徒が意欲を向上させて学業に励むようにと・・・。」


 なんとか理由をつけてかわそうとするも、レイアのあまりの剣幕に、いち生徒に負けてタジタジになる学園長。

 威厳もなにもあったもんじゃない。


「うふふっ。もう一度聞きますね。どうしてですかぁ?」


レイアの身からなにかドス黒いオーラが出ている気がするが、そこは触れないでおこう。


 ・・・命の安全のために。


「どうか、覚えていてくださいねぇ・・・コ・レ・を。」



・・・・ピキ、ピキピキッ。ドゴォォッッッッ!!!



 レイアの立っている位置を中心に床に亀裂が入り、手をついたままの、大理石の学園長机が粉々になった。


「ヒ、ヒィィッッ~~!」


 ――――――――そんな二人をドアの隙間からのぞいているもの達があった。さっきのご令嬢たちである。彼女たちはというと・・・


「「「「「「・・・・かっこいいですわっ。レイアお姉様っっ!」」」」」」


 ・・・・何やら変なスイッチが入ってしまっていた。


 そしてこの、【学園長室破壊事件】は、後に本人の知らぬうちに伝説となるのであった・・・・。


 一方、怒れるレイア様を相手にする学園長は、恐ろしい人物に、ただひたすら平謝りするのであった・・・。


 その後は、授業が終わっても散々だった。女子に捕まったり、女子に捕まったり女子に捕まったり、たまに拝まれたり。

 そして、今では馴染んだ我が家に帰ってきた。

この家は王宮の人にたててもらった。まあ、あまり広いと目立つからほどほどにしてもらったんだけど、中には使用人もいるし全然ほどほどじゃなかったけど。王族の人の普通が分からん。まぁ、みんな優しいしご飯もおいしいし、よしとする!


 ・・・ごめんなさい、ご飯が本命です。


   カチャリ。

 私室に入って鍵をかける。そして、一番下の引き出しの鍵を開けて、中から紙束を取り出す。


 ――――――――――そろそろ、か。


 私はここのところ王宮側の言う通りに行動してきた。きっとあの王子も、私を飼い慣らせていると思って喜び油断している頃だろう。

 そんな王子に従うふりをして、実は密かに探りを入れていた。この国は、黒なのか白か。結果だけいうと、限りなく黒に近い灰色だ。今までの資料を見比べながら思案する。


 (あのポワポワ女神が言いたかったことはきっと、悪い国を滅ぼして人類を救うのだーってことなんだろうけど、こっちの国もかなり()()()が繁殖しているみたい。)


 調査結果の極秘資料を見比べて、レイアはついに決意をした。


 「作戦開始――――ね。」


  その顔にゾッとする程美しくも、凶悪な笑みを浮かべながら。


  ***


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